きょうのコラム「時鐘」 2009年9月20日

 鳩山内閣支持率72%、飛び切りのご祝儀相場である。就任直後のオバマ米大統領が68%だったから、首脳会談で自慢できる。が、浮き沈みの激しいのが支持率である

「半分垢(あか)」という落語がある。力士と女房が主人公で、けいこを積んで強くなった夫が「立派な体になった」と、声を掛けられた。人間はへりくだるのが大事、と教わったばかりの女房は、待ってましたとばかりに応える。「いえ、体の半分は垢です」

あの麻生前内閣も、最初は支持率48%だった。オバマ人気は急落している。支持率72%は、「試着」の札の付いた衣服を何枚も重ねた、着膨れ状態と見た方がいいだろう

「半分垢」を得意にした古今亭志ん生さんは、「えー、人間てえものは」と、独特の処世訓で噺(はなし)を始めた。苦労人だから、含蓄がある。「人間てえものは、無駄なときばかりに骨を折ったって、ダメですな」というのもある。勘どころを見極めて奮闘するのが大切、ということだろう

やたら意気込んで、功名心にはやるように見える新政権である。「えー、政治家てえものは」、目先の手柄に随分と骨を折るものらしい。