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仙台のオフィスビル 空き室率16%超、最悪更新

仙台市中心部に立ち並ぶオフィスビル。供給過剰感が増している(写真と記事は関係ありません)

 仙台市内のオフィスビルの空き室率上昇に歯止めがかからない。景気悪化でオフィス需要が低迷しているのに加え、大型物件の完成が今後も相次ぎ、供給過剰感は深刻さを増すばかりだ。貸し手側には、テナント獲得競争の激化で賃料引き下げの動きが広がる一方、借り手側ではコスト削減を図るため、オフィスの移転や縮小を検討する企業も増えている。(報道部・山形泰史)

<ミニバブル後遺症>
 市中心部などのオフィス街を歩くと「テナント募集中」の文字が新築、既存ビルを問わずに目立つ。完成したばかりのビルを見上げると、あかりのないスペースが多く、入居が進んでいないことがうかがえる。

 ビル仲介業の三鬼商事仙台支店によると、8月末時点での仙台の賃貸オフィスビルの平均空き室率は16.14%と過去最悪を更新。需給バランスの均衡点とされる5%の3倍以上に達している。空き室率は昨年4月、2006年2月以来となる10%の大台を超えた後、じりじりと上昇が続く。

 空き室率上昇の原因は、昨年初めごろまでの「ミニバブル」の際に計画され、建設ラッシュが続いた新築ビルの不振。仙台市内は一時、海外や東京資本のファンドマネーが流入して地価を押し上げ、昨年1月の「青葉通」(青葉区)の路線価が全国一の上昇率となった。

 しかし、昨年秋以降の不況の影響でオフィス需要は減り、昨年8月から今年7月に完成した新築ビル8棟の平均空き室率は73.8%に達している。
 そんな中で、今年12月には青葉区中央1丁目に地上20階建てのオフィスビル「東京建物仙台ビル」がオープン。さらに来年4月、青葉区一番町1丁目に地上37階の超高層複合ビル「仙台トラストタワー」の完成を控える。

<コスト削減策提案>
 東京建物は「経済環境が好転せず、需要の伸びが期待できない状態」とテナント獲得の厳しさを口にする。「効率的なレイアウトによる面積削減など、総体的なコスト削減策を提案して入居を促進していきたい」と話す。

 貸し手側では対策として、賃料を数カ月間無料にする「フリーレント」で入居率向上につなげているケースもある。賃借面積によっては2年契約で、数百万円から1000万円ものコストを削減できる場合があるという。

 青葉区花京院2丁目に14階建てのビルを持つデベロッパーのランド(横浜市)は、「5月の供給開始時に1割に満たなかった入居率が、フリーレントによるコスト削減の提案で9月には予約を含めて6割まで埋まった」と話す。

 各企業は賃料動向を見据えて、オフィスの移転を検討する。三鬼商事は「規模の縮小と移転をセットで考える企業が増えている。総合的なコストが安いか、現状と同程度なら新築物件への移転を選択するようだ」と指摘する。

 不動産投資に詳しいアセットブレインズ仙台ネットワークの佐々木正之事務局長は「供給過剰だったマンションは、新規の供給が落ち着いた後、入居率が向上した。オフィスビルに同じ動きが出るかは分からないが、いずれにしても時間はかかる」とみている。

◎8月は0.14ポイント上昇

 仙台市のオフィスビルの8月末の空き室率が前月末より0.14ポイント上昇し、16.14%になったことが、ビル仲介の三鬼商事仙台支店のまとめで分かった。2カ月続いて過去最悪を更新した。

 5地区別のうち、4地区で前月より悪化した。最も上昇幅が大きかったのは駅東地区の0.34ポイント。空き室率は21.93%となり、5地区で最も高い。

 ほかは泉区など周辺ビジネス地区が19.93%、駅前地区が17.29%、一番町周辺は13.29%で、それぞれ0.11〜0.27ポイント悪化した。県庁・市役所地区は12.49%で0.20ポイント改善された。
 同支店は「割安感のある好条件のビルで、中小規模の借り換え移転の動きが増えてきたようだ」としている。


2009年09月11日金曜日

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