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検察に答弁書求める/最高裁が異例の動き 無実の死刑囚・奥西勝さんが冤罪を訴え、最高裁に対し再審(裁判のやり直し)を求めている三重・名張毒ぶどう酒事件で、弁護団が9月7日、緊急に記者会見を開き、最高裁が最高検に対し、弁護団の申立書などについて答弁書を求めるという異例な動きがあることを明らかにしました。そのうえで、答弁書の提出を引きのばす最高検の姿勢を厳しく批判しました。再審開始にむけて重要な状況を迎えており、一気に運動を強めましょう。
弁護団 答弁引きのばす検察を批判 記者会見で鈴木泉弁護団長は、最高裁での審理の現状を次のように説明しました。
最高検察庁の不誠実な態度 最高裁は7月、最高検察庁に対し、弁護団が再審請求において出した申立書や補充書について反論することがあれば答弁書を提出するよう、文書で求めました。
しかし8月末になっても答弁書が出されなかったため、弁護団は、すみやかに提出するよう最高検に求めてほしいと、最高裁に要望。その後、最高検は最高裁に対し「10月末日までに提出するよう努力する」との、不誠実な回答を返してきました。
弁護団は8月31日、答弁書の提出期限を9月15日とするよう最高検に通告すべきと、最高裁に要求しました。
鈴木弁護団長は、「最高裁に特別抗告してからすでに2年8カ月が経過しており、反論するなら十分な時間があったにもかかわらず、なんら反論せず、今になって3カ月以上かけて答弁書を出すというのは、引きのばし以外のなにものでもない。奥西さんは1月に83歳をむかえ、半世紀近く死刑にされるかもしれないという苦しみを味わってきている。これ以上の引きのばしは許されない」と、最高検の態度を厳しく批判しました。
重要局面迎え 再審求めよう 弁護団はこれまで最高裁に対し、補充書9通、奥西さん本人の意見書、19点にもおよぶ証拠などを提出し、再審を取り消した決定の誤りを明らかにし、すみやかに再審を開き、奥西さんを即時釈放するよう求めてきました。
鈴木弁護団長は最後に、「検察は、足利事件と同じように自白のみによって有罪を維持しようとしている。こういった不正を国民世論は許さない」とのべました。
最高検の答弁書をうけ、名張事件は重要な局面を迎えます。「再審開始を」の声を最高裁に集中しましょう。
(要請先)〒102-8651 千代田区隼町4-2 最高裁第3小法廷・堀籠幸男裁判長
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□解説 最高裁が最高検に対し答弁書の提出を求めましたが、このような動きは第5次、第6次再審ではなかった異例の動きといえます。このことは、最高裁が弁護団の主張を簡単に切り捨てるのではなく、検察の意見も聞いたうえで慎重に審理をしようとしている姿勢の表れだと考えられます。これは、弁護団のはたらきかけや全国からの要請などの反映です。足利事件では、科学的証拠(DNA型再鑑定)によって、有罪の柱となっていた「自白」の信用性が崩れ、再審が開始されました。名張事件も、凶器(毒物)は違うとの最新の科学的鑑定が新証拠として出されており、「自白」は信用できないことが明らかになっています。最高裁が新証拠など弁護団の主張を慎重に検討すれば再審は開始されなければなりません。 (編集部)
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<名張事件> 1961年、三重県名張市で開かれた地域の懇親会で、毒物が入れられたぶどう酒を飲んで5人の女性が死亡。奥西勝さんが犯人とされ、ウソの「自白」をさせられる。裁判で無実を主張し、一審は無罪、しかし二審で死刑となり、最高裁で確定。第7次再審請求において、05年、名古屋高裁刑事1部が、使われた毒物は「自白」したものとは違うとの科学的鑑定などの新証拠をふまえ再審開始を決定。しかし06年、同高裁刑事2部は「自白」を重視し、再審決定を取り消す。07年1月、最高裁に特別抗告。