個人的には、ワクチンの被害や安全性について懸念を一般の方が言うのは構いませんし、感染症の抑制のためのツールとして、未熟だからと、輸入について新聞記者が文句を言ったり、有効性を批判することは自由です。医学関係者であっても、安全性が確立していない新型ワクチンに慎重であります(2012 安全性確認の治験は実施の方針)。
CDCの「CDC Says “Take 3” Steps To Fight The Flu
These actions will protect against the new H1N1 too!」でもワクチンが第一です。
日本の場合、おそらく10月のピーク予想のシナリオには間に合いません。アメリカは出荷を一ヶ月前倒しにしたのと対照的です。
国内で感染が広がった場合、限られた救急医療現場に軽症の患者さんが集中し、手薄になりつつある救急医療体制が崩壊し、蔓延しなければ「死ななくてすむはずの患者さん」が増えることは・・・それほど予想が困難ではありません。
「医療崩壊」のトリガーは感染症だけではありませんが、急激な医療需要の激増に対しては、「アクセス制限」つまり熱発ごときで夜中にかかるべからず・・・となります。
要は、救急現場には呼吸器やベッド、そして医師や看護師に「リソース」に限りがあります。野戦病院よろしく、病院の床に寝かせておけばいいといった、戦時体制のようになっても・・・それで病院の中で院内感染を発生して、次々とスタッフや他の患者さんに伝播するようでは困ります。
国内で7人目の患者が死亡しました(新型インフルで7人目死者
GW前後に政府が「検疫所による水際大作戦」を行って、結果として国内への侵入が防げなかったように、人間を使っての対応はたぶん、手遅れになるだけです。
簡単な話、「日本は神国だから・・・」という例外はなく、スペイン風邪も、ソ連風邪も日本で大流行しました。
そういう意味で、他の先進国がワクチン接種を勧めるのに、異常に「副作用」だけを言い募ることは、結果として、免疫がない患者さんがそれだけ罹患し、病院を困惑させるだけです(新型インフルで救急外来急増 過剰反応に病院疲弊)。
ま、「はしか輸出国」とか「結核後進国」と「HIV患者が増える唯一の先進国」という恥ずかしい国だという現状をもう少し、考えるべきでしょうね。いえ、ワクチンを受けるかどうかは自由です。ただし、フランスが確保しているのは、全国民分5000万人分、アメリカは2億人分。それに対して、日本が国内で確保できているのは1700万人分・・・この差は大きいですね。(ワクチン接種にゼロリスク「ありえない」,国民への周知が重要)
政府はきちんと情報を開示していくしかないでしょう。未接種率が高くて、病気になるリスクを国民に負わせたり、急いで輸入を働きかけるのにあたって、安全性が確立しきれていないワクチンを製造物責任としてメーカー側に負わせるのもまた無理です。外国に比べると、ワクチン・ラグや情報の不正確さによって被害をこうむるのは国民で、流行が諸外国よりもひどくなって、経済活動の停滞をもたらされれば、日本全体の問題になります。
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ワクチン接種にゼロリスク「ありえない」,国民への周知が重要
MTpro2009年8月21日
新型インフルエンザワクチンについて厚労省で意見交換会
厚労省は昨日(8月20日),専門家や患者団体などから成る「
東大提言の最優先は医療従事者と免疫弱者
新型インフルエンザ(A/H1N1)
現在,各国で新型ワクチン生産が始まっており,
同会のメンバーである東京大学大学院(医療倫理学)
一方,大阪市立大学大学院(公衆衛生学)教授の廣田良夫氏は,
また,各メンバーから高リスク群の詳細な分類,
日本人は「1の副作用で100の効果を忘れてしまう」
岡部氏からは「医療・医学では残念ながら100%
この点について,
これに対し,尾身氏は「任意接種とはいえ,
ワクチン輸入に関して,患者会側から「
次回は8月27日に実施される予定だ。(小島 領平)
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琉球新報 2009年8月27日
家族など身近な人に新型インフルエンザ感染者が出た場合に、事業所側が職員に対して罹患(りかん)していないという診断書の提出を求めたり、本人が感染し、完治した場合に「完治証明書」の提出を求めるなど「過剰反応」ともいえる事態が起きており、病院を訪れる人が急増している。患者の増加に伴い、救急病院を中心に医療機関はぎりぎりの対応に追われており「本来来るべきでない人に対応している余裕はない」(医療従事者)のが現状だ。また感染していない人が病院に行くことで感染の危険性が高まる側面もあり、県福祉保健部は「かかっていないという診断書自体出せないし、完治証明も必要ない。医療現場を疲弊させることはやめてほしい」と強く呼び掛けている。
本島南部の病院では子どもが感染した親が夜間に来院し「(本人が)かかっていないという証明書」の提出を会社から求められたとして、咳(せき)などの呼吸器症状、発熱もないにもかかわらず「検査をしてほしい」と求める例があったという。同病院の看護師は「病院での待ち時間に感染する危険性の方が高い。症状のない人が病院に来るとかえって感染を拡大させる。どの病院も医師、看護師不足だ。救急のパンク状態が続けば医療の側が倒れてしまう。適切な受診を心掛けることが県民のできる最大の協力」と指摘する。
県の宮里達也保健衛生統括監は「家族が感染し会社などに出勤するときにはマスクをして出ればいい。本人が感染した場合も熱が平熱に下がって2日たてば感染の心配はないので出勤可能だ」と説明する。
重症例が出ていることから、軽症でも発熱するとすぐに救急に駆け込む例も少なくないという。宮里統括監は「息苦しそうにしている、水分が取れない、顔色が悪い、挙動がおかしいなどの症状があればすぐに救急にかかる必要がある。しかし発熱だけなら、インフルエンザではない可能性もあり、病院に行くことはかえって危険。水分を十分とって一晩休み、昼間にかかりつけ医を受診すること。それが本人のためにも社会のためにもなる」と適切な受診をあらためて呼び掛けた。
読売新聞 2009/08/30
厚生労働省などは29日、新型インフルエンザに感染した兵庫県たつの市の38歳の女性と、鹿児島県枕崎市の60歳代の女性が同日未明に死亡したと発表した。新型インフルエンザに感染した死亡者は国内で7人となった。 兵庫県姫路市によると、女性はたつの市内の福祉施設に通っていた。てんかんの既往歴があり、けいれん止めの薬を処方されていたといい、死因について詳しく調べている。
女性は27日から39度台の発熱や倦怠(けんたい)感を訴え、28日に自宅近くの診療所で受診。簡易検査でA型インフルエンザと診断され、タミフルの投与を受け、自宅で静養していた。29日午前1時半頃、容体が急変。午前4時過ぎ、救急搬送された姫路市内の病院で死亡が確認された。死亡後、遺伝子検査(PCR検査)で、新型インフルエンザの感染がわかった。
女性が通う福祉施設では、24日、通所者1人に新型インフルエンザの症状があったため、女性は26日から通所を控えていた。同施設では現在、7人に感染の疑いがあるという。姫路市保健所の伊地智(いじち)昭浩所長は「女性はインフルエンザの感染で、既往症が悪化した可能性がある」と話した。
一方、鹿児島県によると、枕崎市の女性は数年前に消化器がんの摘出手術を受けたが、今年になって肺への転移が見つかり、経過観察中だった。27日に発熱やのどの痛みなどを訴え、28日に同市内の病院で受診。呼吸困難などの症状が出たため入院し、遺伝子検査で新型インフルエンザの感染が確認された。29日午前0時40分に急性呼吸器不全で死亡した。
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by 桜子 (sakurako) ★
「ワクチン後進国」ワクチンに…