最初に・・・日本のメディアにゆがめられた薬の被害は確実に日本の予防医療を貧しくさせています。
明らかに日本の製薬企業がまったく新規開発から手を引いている現状なのに、「ワクチン利権」という被害妄想もおかしいのですが、諸外国に比べるとワクチンで防げる病気が実は日本では消えません。
「麻疹(はしか)」も一つですが、そのほか「水ぼうそう」などで毎年、何人もの子供さんが、欧米ならかからないですむ病気になったりして、命を落としたり脳症といった病気で後遺症で苦しんでいます。
厚生労働省アワー「ワクチン産業ビジョン」
2007/10/25(木) 16:59
薬学の時間 2007年10月25日放送
厚生労働省アワー「ワクチン産業ビジョン」
厚生労働省医薬食品局血液対策課 倉吉 紘子
はじめに
厚生労働省血液対策課の倉吉です。本日は、「ワクチン産業ビジョン」というタイトルで、お話をさせていただきます。厚生労働省では、2007年3月に 「ワクチン産業ビジョン」を作成し公表しました。本日は、日本のワクチンの現状と、この「ワクチン産業ビジョン」についてお話をさせていただきたいと思い ます。
ちなみに、日本のワクチンメーカーといっても国内の大手製薬メーカーは一切手を出していません。
*ワクチンメーカー
北里研究所、(財)化学及血清療法研究所、(財)阪大微生物病研究会、千葉県血清研究所、(株)細菌化学研究所、デンカ生研(株)
国内企業の医薬品事業売上高(2010年3月期予想、億円) 1 武田薬品 15000 2 アステラス製薬 9680 3 第一三共 9600 4 エーザイ 8200 5 田辺三菱製薬 4080 6 中外製薬(09年12月期予想) 4000 7 大日本住友製薬 2640+1200 8 大塚製薬(医療関連) 2970 9 塩野義製薬 2840 10 協和発酵キリン(医薬事業) 2104
<インフルエンザワクチンは、日本の製造方法では、有精卵を用いるため、鶏を多く準備するため、契約農家にお金を払う必要があり、予定より急に増産したくても、できず、作りすぎれば「返品」・・・他の高血圧や抗がん剤といった『ドル箱』と違います。したがって、こういったドル箱を持つ国内メーカーは上位10社とも手を出しません。
ワクチンをめぐっては様々な議論があってもいいとは思います。過去の薬害が訴訟となり国が認可しなくなった経緯もあります、そのために「ワクチンラグ」を生じているので、このあたりは、もう少し冷静になって考えなおす必要があります。
えぇ、海外から輸入すればおしまい!ではありません。国防と同じです。検疫所による水際作戦が失敗したように、きちんと「国策」として日本国民に必要な予防医療で、疾病予防をもたらすために、ワクチンにご理解を★
<参考文献>
週刊医学界新聞第2547号 2003年8月18日
〔寄稿〕
日本の予防接種行政を考える
五味晴美(米国内科・感染症科専門医,日本医師会総合政策研究機構客員研究員)
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臨時 vol 185 「ワクチンを売りにくい国、日本」
医療ガバナンス学会 (2009年8月11日 13:15)
細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会 事務局長 高畑紀一
我が国は「ワクチン後進国」と揶揄されるほど、ワクチンの導入が進んでいない。ドラッグ・ワクチンラグの解消が我が国の喫緊の課題となっているが、多くの方はラグを生じているのは、「承認審査に時間がかかっているから」と認識しているのではないだろうか。
もちろん、これは正解で承認審査が欧米に比して時間がかかっていることがラグの大きな要因の一つである。
しかし、実はラグを生じている要因は承認審査そのものだけではない。いくつかの要因が相まって現在のラグを生み出しているのだが、その一つに承認審査に至る以前に承認申請がなされるその時点で、既に欧米より大幅に遅れていることが挙げられている。
つまり、日本での販売事業の着手そのものが既に遅れているのだ。
ヒブワクチンは1990年代初めには欧米で承認され多くの国々で定期接種プログラムに組み入れられた。一方、我が国でのヒブワクチンの開発着手は1997年に入ってからで、承認申請は2003年、承認は2007年1月と他の先進国に比して大きく出遅れた。
ヒブワクチンは世界保健機関(WHO)がその有効性と安全性を高く評価し、全ての国々で定期接種化すべきとの勧告を1998年に行なっている。
つまり、WHOがお墨付きを与えるほどの実績を積み上げたワクチンの開発着手が、その僅か一年前であったということなのだ。
驚くべきほどの遅れをもって、我が国ではヒブワクチンが開発に着手されたことがわかる。
では何故、ヒブワクチンの開発着手がこれほどまでに遅れたのだろうか。
これもいくつかの原因が考えられるが、日本はワクチンを政策的に取り入れていく環境が整っていないことをその一つとして指摘したい。
まず、我が国の予防接種は定期接種と任意接種の二つのカテゴリーに分けられるが、どのような条件を満たせば定期接種となるのかという指標が不明確である。
現在の予防接種法下において、新に定期接種化されたワクチンは基本的に存在しない。さらに、定期接種化する疾病・ワクチンの基準というものも存在していない。
つまり、日本でワクチンを売ろうと考えても、そのワクチンがどのような条件を満たせば定期接種の対象となるのか、誰にもわからないのである。
「定期」か「任意」か、この違いはワクチンメーカーにとっては非常に大きい違いとなる。
まず、予想される需要量が大きく異なってくる。定期接種の場合、接種率は9割を超えるが、任意接種の場合は多くても3割程度と言われている。
もちろん、3割の接種率に達するかどうかも不明確だ。
小児ワクチンの場合、「定期」のマーケットは100万人/年で安定したものとなるが、任意の場合はマーケット規模はその1/3で、需要予測も極めて不安定となる。
このことはメーカーだけではなく、消費者の立場となる国民にもしわ寄せがくる。不安定な需要予測に基づく小規模な生産ではおのずとワクチン価格が高めになってしまい、国民は高価な代金を支払わざるを得ない。
また、需要が大幅に伸びた場合、ワクチンが供給不足に陥り「接種したくても接種できない」という事態を招くこととなる。
残念ながらこの二つの不利益はヒブワクチンで既に生じており、ヒブワクチンの価格は他国の卸値の倍近い値段といわれており、このことが4回接種で3万円という子育て世代にとっては非常に重い経済負担をもたらしている。
また供給不足のため、接種の予約を入れても数ヶ月から半年待ちという状態が続いている。
細菌性髄膜炎の発症リスクは5歳未満、とりわけ0歳までの乳幼児が最も高いとされているが、接種可能となる生後2ヶ月の時点で予約を入れても半年も待たなければ接種できないということは、ワクチンによる疾病予防の本質からいって極めて好ましくない状態である。
実際、接種を待っている間に細菌性髄膜炎に罹患してしまったという事例も、残念なことに生じている。
「定期」と「任意」の違いは、需要量や保護者の費用負担(定期接種なら基本的に無料、任意なら全額自己負担)に留まらない。万が一、副作用被害が生じた場合の救済内容が大きく異なるのだ。
定期接種の場合、副作用被害は予防接種法に基づいた公費による救済が行なわれ、内容も比較的充実している。
これに対し任意接種の場合はメーカーの拠出による医薬品の副作用救済制度の対象にしかならず、その補償内容は予防接種法に基づくものに比してあまりにも乏しいといわざるを得ない。
仮に任意接種で副作用被害を被った場合、十分な救済を受けたいと願えば、医薬品の副作用救済制度では不十分であり、民事訴訟を起こしてメーカーに賠償を求めるといった行動を取らざるを得なくなる可能性もある。
メーカーにとっても、訴訟リスクや賠償リスクを想定しなければならず、日本での発売は他国での実績を十分に積んでから、との判断に傾いても何ら不思議ではない。
現に、ヒブワクチンの我が国での開発着手は欧米で十分な実績を積んだ以降であったし、小児用肺炎球菌ワクチンも同様に着手そのものが遅れていた。
定期接種と任意接種という二つの予防接種カテゴリーを有しながら、その定義や運用に明確な基準を設けてこなかった我が国の不明瞭さが、ワクチンを売りにくい国を形作ってしまったことは否定できない。
とりわけ定期接種化以外の予防接種に対する無策ぶりは、国民にも大きな不利益を及ぼしている。
これらの現状を目の当たりにすると、現在、海外からの輸入が検討されている新型インフルエンザワクチンが、世界的にも供給量が不足すると言われている中、果たしてどれほどの輸入量を確保できるのかについても、とても心許ない。
既に実績を積んできたヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンと異なり、新型インフルエンザワクチンは世界共通の新製品であり、有効性も安全性もまだまだ手探りの部分が山積しているワクチンである。
他のワクチンに比して安全かもしれないし同等かもしれないし、もしかしたら副作用リスクが高目かもしれない。
これは実際に接種してみなければわからないが、そのような新規のワクチンを導入するにあたり、副作用被害に対する補償制度が不十分であり、メーカーが訴訟を起こされるリスクを抱える我が国にワクチンを売りたいと考えるであろうか。
ちなみに米国ではワクチンの副作用被害については十分な補償制度を設ける一方で、メーカーは免責されているそうで、メーカーにとっては「ワクチンを売りやすい国」といえるであろう。
国民も、新型インフルエンザの恐怖におびえながら、しかし万が一の副作用被害を被った場合のリスクにもおびえなければいけないという二重の恐怖を抱えることになる。
我が国が「ワクチンを売りにくい国」から脱却するためには、少なくてもどのような条件で定期接種化するのかという基準を明確にすると共に、任意接種による副作用被害であっても十分な補償を受けられる制度を創設すること、そのこと
で国民もメーカーも不必要な訴訟リスクから開放することが必要であろう。
ワクチンで防ぐことのできる疾病を未然に防ぐという世界的潮流に追いつけない「ワクチン後進国」という汚名を返上するため、また、新たなる感染症への対策という観点からもこれらの課題を早急に改善する必要があると考える。
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by 桜子 (sakurako) ★
「ワクチン後進国」ワクチンに…