2009年9月19日18時18分
遺体が見つかった荒船山 ヘリからの映像
「クレヨンしんちゃん」の作者・臼井儀人さんが行方不明になったと見られる荒船山。中央の絶壁が艫岩(ともいわ)=19日午後4時28分、群馬県下仁田町、朝日新聞社ヘリから、安冨良弘撮影
群馬・長野県境の荒船山(標高約1423メートル)で19日午前10時半ごろ、埼玉県の男性登山者(58)から「人が倒れている」と119番通報があった。人気漫画「クレヨンしんちゃん」の作者、臼井儀人(うすい・よしと)(本名・義人)さん(51)=埼玉県春日部市在住=が、今月11日に自宅を出て荒船山に入山したまま行方不明になっており、群馬県警下仁田署は遺体が臼井さんの可能性もあるとみて調べている。
同署によると、遺体は男性とみられる。群馬県下仁田町南野の荒船山頂にある台地状の巨岩「艫岩(ともいわ)」の北側のがけ下、250〜300メートルほどの岩場で発見された。遺体は損傷がかなり激しく、衣類が脱げた状態だった。周囲に所持品らしきものは見つかっていないという。同署は登山中に滑落した可能性もあるとみている。
現場は、垂直のがけを下りなければ近寄れないほど険しく、県警の捜索隊は19日、現場に向かったが遺体を収容できなかった。収容作業は20日午前8時ごろから、再開する。
同署によれば、荒船山の艫岩付近で滑落遺体が発見されるのは、「年間1件あるかないか程度」という。
埼玉県警春日部署によると、臼井さんは11日朝、「群馬県の荒船山に登山に出かける」と家族に伝え、1人で自宅を出た。この日の夕方には帰宅する予定だったが戻らず、12日早朝、臼井さんの妻から捜索願が出された。
出発時、臼井さんは軽装で携帯電話を持って出かけていた。携帯電話は、少なくとも14日までは電波があり、荒船山付近の基地局で感知されていた。