サイゾースタッフ
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ライター(五十音順)
竹辻倫子※/田幸和歌子※
長野辰次※/平松優子※
※=外部スタッフ
民主党政権でどう変わる? 児童ポルノ法改正のゆくえ(後編)
巨大与党となった民主党案の出来は?
では、日本ユニセフ協会が「準児童ポルノ」と呼ぶ、「被写体が実在するか否かを問わず、18歳未満の児童の性的な姿態や虐待などを写実的に描写したもの」、すなわちアニメ、マンガ、ゲームなどの二次元の創作物に関する規制についてはどうだろうか?
「あれは彼ら(日本ユニセフ協会)が勝手にそう呼んでいるにすぎないもので、法案にはそんな言葉もありません。重要なのは、実在の児童を被写体とするものと、そうでないものを区別して考えることです。実在の児童が被写体になっていないものについては、僕は規制する必要はないと考えています。現行法上、わいせつに類するものは刑法175条で摘発されるものもありますが、児童ポルノ法とは分けて考えなければなりません。二次元の創作物には被害者がいないのですから」
なお、今回の記事作成にあたり、日本ユニセフ協会に取材の申し込みをしたところ、「時間をとるのが難しい」という理由で拒否されたことを付記しておく。
では、民主党案についてはどうなのだろうか? 民主党案の大きなポイントは3つ。まずは「定義の明確化」だ。先ほど述べた「性欲を興奮させ又は刺激する」というくだりを削除し、主観的な要件を排除している。また、"児童ポルノ"という言葉も「児童性行為等姿態描写物」に改めている。定義のあいまいさを解消しようという取り組みの表れだ。なお、厳罰化も挙げることができる。
もうひとつのポイントは単純所持の規制ではなく、「取得罪」を新設していること。金銭のやり取りを伴う「有償取得行為」、あるいは「複数回(反復性)取得行為」のみを罰し、自民・公明党案より厳しい罰則を設けることとしている。
「自民・公明党案よりは、はるかにいいとは思います。しかし、民主党案にもまだあいまいな部分が残されています。例えば定義の明確化として、『殊更に児童の性器等が露出され、若しくは強調されている児童の姿態』という表現が使われているのですが、『殊更に』という言葉が何を指しているかあいまいであり、芸術性のあるものを除外する規定もないのです。芸術性のあるヌードなども引っかかる可能性があります。例えば、宮沢りえのヌード写真集『Santa Fe』(朝日出版社/91年)が引っかかってくる可能性も十分あります。また、取得罪の中の『反復』という概念もよくわかりません。
頻繁に、という意味なのか、2回以上という意味なのか。議員の間でも解釈論がまとまっていないという話も聞きます。場合によっては、単純所持と変わらなくなってしまうかもしれません。民主党が与党になった今こそ、あらためて最初から議論をしなおしてもいいのではないかと僕は感じています」
児童人権保護の原点に立ち返り、再議論を
さて、衆院解散で一度は廃案になった児童ポルノ法改正に関する論議が、このまま終わるというわけではない。
「3年をめどに改正する」と同法条文に定められている以上、今年中、遅くとも来年には法案の審議が始まると予測されている。そこであらためて行われる児童ポルノ法の改正についての議論の際、再提出される民主党案の内容が大幅に変わることはありうるのだろうか?
「民主党と連立を組む社民党と国民新党は現行法で十分だという立場のはずですから、法案を審議する過程で社民党案や国民新党案を盛り込み、さらに変わる可能性はあります。その一方で、民主党案に単純所持の規制などが盛り込まれる可能性もありえます。民主党には、これまでの議論に参加していない初当選の議員が数多くいますので、
日本ユニセフ協会などが、特に女性議員に働きかけることは十分にありえます。そういう声が大きくなると、規制レベルを後退させることは難しくなるのではないでしょうか」
民主党案にも瑕疵がある以上、児童ポルノの定義などについて、もう一度きっちりと議論をしつくしてもらう必要があるだろう。さらに民主党案自体が変化する見込みがあるのなら、それも注視していかなければならない。「民主党に任せておけば大丈夫!」というわけにはいかないのだ。当然、アダルトゲームの規制(これは女性の人権に関する問題であり、児童ポルノ法とは根本的に論点が違う)など、的外れな議論に惑わされてもいけないだろう。
「児童ポルノ法は子どもの人権を守るための立法であるということを、もう一度はっきりさせたほうがいいと僕は思っています。法律の枠組みそのものを、最初の目的である児童の人権を守るという観点から構築し直すべきです。性的な嗜好や欲望それ自体は、具体的な加害行為に表れない限りは裁かれるべきではないし、思想や表現の自由に対する制約は必要最小限度にとどめなくてはなりません」
近い将来、改正にむけた法案審議が始まることは間違いない。そのとき、誰がどのような発言をするのか、冷静な目で注視していきたい。
(さらに詳しい解説は「サイゾー」10月号にて/取材・文=大山くまお)
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