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馬鹿な官僚
高山正之(ジャーナリスト)
(VOICE 2009年9月16日掲載) 2009年9月19日(土)配信
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レーダーの原理は、昭和元年に八木・東北大教授が発明した。例によって馬鹿な官僚がその重要さも気づかず、特許も失効させた。逆に英米はその原理を盗んで索敵レーダーをこしらえ、先の戦争で日本に勝つことができた。
マッカーサーは戦後、連合軍の勝利は日本の官僚のおかげ、彼らは今後も日本の屋台骨を蝕んで、欧米の期待どおり日本をダメにするだろうと読んで、憲法から財閥から教育まですべて解体したなかで、官僚制度だけは温存した。
一方、日本が特許を失ったレーダーは戦後、英米の手で広範に使われはじめた。とくに1日に何万機も飛び交う民間航空界では、レーダーがその交通整理をする重責を担った。
レーダーは超短波を発信して相手機から反射した電波を捉えて、スクリーンに輝点として映し出す。しかし、それではその飛行機がどこに向け、どの高度で飛んでいるのかは分からない。それを解消したのが、双方向で電波を出し合う二次レーダー(SSR)だ。地上から質問電波を出すと、飛行機のほうから応答電波が出て、どの航空会社の何便で、高度から飛行方向まで伝えられる。
羽田にSSRが入ったとき、日本は初めて米軍管理の「横田エリア」の中を見通すことができた。そこを飛び回る米軍機の多くは日本側の質問電波に答えず、正体不明のまま勝手に太平洋側から入り、日本海側に飛び去っていた。そんな勝手をやった1機が、のちにソ連で撃ち落とされたU2型機だった。日本はただ利用され、何が起きたかも知らない馬鹿な役回りを演じさせられた。
クリントンが北朝鮮に行って米国籍の女2人を助け出した。世界はこの極秘訪問に驚いたが、日本の官僚だけは事前に知っていた。なぜなら彼の飛行機は国交省、外務省の了解を得て、往復とも青森・三沢に降りていた。便宜を図ってやるから拉致された日本人も連れて帰れ、くらい言えなかったのか。
かくて日本はまた間抜け顔を世界にさらした。
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