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発信箱:11.25%=福本容子(経済部)

 「今度の選挙は番狂わせだった」--。鳩山さんが読み違いを認めていた。由紀夫さんではない。おじいさんで当時、自由党総裁だった一郎さん。1946年4月に行われた戦後初の衆院選である。

 初めて女性が参政権を得た総選挙で、いきなり39人の「婦人代議士」が誕生したのだ。鳩山さんはびっくり。新聞もびっくり。「(参政権運動の)闘士、令嬢、色とりどり。喫茶店主など随分変わり種もある」と当時の毎日新聞も随分だけど、フランスの31人に勝った、と喜んでもいた。

 こんなコメントがあった。仏文学の辰野隆東大教授による女性議員を根付かせるための心得。「新時代の飾りものにして議事堂に据えて置くだけでなく、責任ある地位に立たせ責任ある仕事をやらせることだ。そして彼女たちに理想を説かせることである」

 でも、そうならなかった。初回に8.37%あった衆院の女性議員比率は2%前後の低迷が続く。増え始めたのは90年からで、05年の前回やっと過去最多の43人が当選した。

 それでも比率はなお1ケタで世界ランク100位圏外だったのが、今度の選挙でついに2ケタに乗ったのである。当選54人で11.25%。3ポイント足らずの上昇に63年かかったけれど、この2回だけ見たら4年で11人増、2.3ポイントアップ。政党に、起用しようという思いがあれば変えられるのだ。

 少子化対策とか女性の地位向上、とかではない。有権者の半分が女性なのだから(実際は女性が347万人多い)、議員も半分いて当たり前というだけのこと。世の中の問題が複雑でいろいろなのに、同じような人たちだけで政治を長くやりすぎ煮詰まった。同じような人たちとは「一つの党の人たち」だけじゃない。

毎日新聞 2009年9月4日 0時06分

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