きょうのコラム「時鐘」 2009年9月19日

 秋の大型連休に合わせて「金沢おどり」と「金沢JAZZSTREET」が始まる。能登では「マクベス」の長期公演も幕をあけた。どの順番に見て回ろうか、ぜいたくな悩みである

加えて、南砺市城端の「むぎや祭」や七尾市中島の「お熊甲祭」も重なる。東京や大阪の暮らしが時にうらやましくなると言う人がいる。ナマの舞台芸術をいつでも鑑賞できるからだという

が、北陸でも県境を意識しないで足を運べば、そんな思いはしなくてもいい時代になってきた。何より、地方色豊かな祭りは最高のナマの舞台だ。伝統と現代、2つの舞台が競って文化や芸術は深みを増す

首都圏や地方都市の落ち込みも目立った基準地価の公表は少なからずショックだった。頼みの北陸新幹線駅周辺も軒並み下落だ。1地方都市では抗し難い逆風もあろうが、このような時にこそ地方独自の「文化の力」が必要ではなかろうか

土地の価値とは地域の魅力度のことでもある。まず地元県民がその土地の味を楽しまなければなるまい。人が踊り、歌い、語り合う。いい舞台を演出できる人材もここから生まれる。