最終更新: 2009/09/19 01:54

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米・オバマ大統領、東ヨーロッパへのミサイル防衛計画を全面的に見直すと発表

アメリカのオバマ大統領は、東ヨーロッパへのミサイル防衛計画を全面的に見直すと発表した。米ロ核軍縮の加速につながるこの政策転換の裏側には、次世代型ミサイル技術の開発があり、日本も大きな役割を担ってきた。
オバマ大統領は17日、「ヨーロッパミサイル防衛計画について、総括的な『見直し』を命じました」と語った。
アメリカとロシアの間にわだかまっていた問題の1つが、解決を見た瞬間だった。
米ロの間に相互不信を生んでいた懸案。
それは、ブッシュ前政権が進めてきたヨーロッパミサイル防衛の構想。
イランの弾道ミサイルからアメリカを守るとして、ミサイル追尾レーダーをチェコに、迎撃ミサイルをポーランドに配備する計画だった。
ところがロシアは、アメリカが対イランを口実に、自分たちの戦略核ミサイルを封じ込めると考え、このミサイル防衛構想に猛反発していた。
2008年4月、ロシアのプーチン大統領(当時)は「米ロの関係において、深刻な障害があるのは事実だ」と述べた。
これに対し今回、オバマ大統領は新たな構想を打ち出した。
この決定に、米ロの関係悪化を懸念していたヨーロッパは、歓迎の意を表明した。
イギリスのブラウン首相は17日、「きょうのオバマ大統領の決定を強く支持します」と述べた。
オバマ大統領が示した新たなプランでは、イランで現在配備が進む中距離、短距離の弾道ミサイルを脅威の対象に限定、将来の配備が懸念される長距離ミサイルを除外した。
オバマ大統領は「現在の計画より包括的で、すでに能力は実証済み。費用対効果があがる技術を使う」と述べた。
現在、極東などでも運用中のイージスBMD艦と、ここから発射される海上配備型迎撃ミサイル「SM-3」を活用するシステム。
SM-3は現在、中距離弾道ミサイルの迎撃に有効とされるミサイル。
新たなミサイル防衛は当面、このSM-3搭載のイージスBMD艦を地中海や黒海、そして大西洋なども含め、ヨーロッパを囲むように配備するというもの。
そして、SM-3ミサイルシステムの能力を向上させ、1隻あたりの迎撃範囲の拡大を目指し、展開を調整する。
さらに、地上発射型も開発し、最終的にチェコやポーランドに配備する計画だという。
軍事評論家の岡部 いさく氏は「現在のSM-3は、ロシアが懸念するような長距離の大陸間弾道ミサイルにはまだ対処する能力がありませんし、新たに配備が予定されているレーダーも、探知方向をイランに向けて固定できるんですね。ですから、これはロシアの戦略核ミサイルを監視したり、封じ込めたりするものではないというわけです」と語った。
このオバマ大統領の歩み寄りに、ロシアは即座に反応し、歓迎の意を示した。
ロシアのメドベージェフ大統領は17日、「アメリカ大統領の責任ある行動を評価する。対話継続の用意がある」と述べた。
新たな冷戦ともやゆされた米ロの関係悪化を改善させたオバマ大統領の新たなプランだが、そのプランの実現に、実は日本が大きくかかわっている。
岡部氏によると、SM-3ブロック2Aは、日米共同開発のミサイルで、重要な部分の開発は現在も日本が担当しているという。
自民党政権の下で進められてきたこうしたミサイルの共同開発。
しかし今、日本の政治は大きな転機を迎えている。
岡部氏は「SM-3ブロック2Aの開発における日本政府の責任というのは、これはもう技術的にも、政治的にも非常に重いものになりますね。もし、このミサイルの開発が遅れれば、オバマ大統領のミサイル防衛構想にまで波紋が広がっていくわけです」と語った。

(09/19 01:16)


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