9月18日(ブルームバーグ):日本銀行の山口広秀副総裁は18日午前、都内で講演し、日本経済が今年度後半に持ち直すとの日銀の見通しについて「依然大きな不確実性がある」と述べた。
山口副総裁は日本経済について「世界経済の動きを背景に、前向きのメカニズムが作動するようになっている。自動車や電子部品を中心に輸出や生産の回復傾向が明確化している。公共投資などの財政措置も経済活動を下支えしている」と述べた。
先行きについては「世界経済の持ち直しに向けた動きはしばらく継続するとみられる。このところの新興国の回復傾向が明確になっていることは心強い材料だ。このため、わが国経済も本年度後半以降、持ち直していくものとみている」と語った。
日銀は17日開いた金融政策決定会合で「景気は持ち直しに転じつつある」として、情勢判断を2カ月ぶりに上方修正した。
山口副総裁は一方で、「現在の世界経済には、企業や消費者のバランスシート調整という要因が働いている。それだけに、今後の世界経済回復のモメンタムは、バランスシート調整がどう進むかに大きく依存しているし、日本経済もその影響のらち外ではない」と指摘。その上で、こうした見通しには「依然大きな不確実性がある」と述べた。
常識共有できればタイムリーに政策運営
社債の買い入れや企業金融支援特別オペなど12月末を期限とする企業金融支援策の今後の取り扱いについては「企業金融や金融市場の状況をしっかりと点検した上で、その改善度合いに応じて、適切に判断する必要がある」と語った。
山口副総裁はまた、「その際には、時限措置を長く続けることで、市場機能の自律的な回復が阻害され、結果として、資源配分が歪められるリスクにも配慮が必要だ」と指摘。
その上で「こうしたリスクについても、市場参加者との間で、1つの『常識』として共有することができれば、タイムリーな政策運営を図っていく上で有益だと考えている」と述べた。
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