足利事件で釈放された菅家利和さん(62)と弁護団の佐藤博史弁護士は11日、民主党の法務部門会議に出席し、取り調べの状況やDNA鑑定の問題点などについて説明した。会議後、菅家さんは「強制的に調べられ、暴力とかもある。冤罪をなくすため、カメラを設置し取り調べの内容が分かるようにしてもらいたい」と取り調べの録音・録画による可視化の必要性を訴えた。(中野勲) 菅家さんは、逮捕された1991年12月1日を振り返り、捜査段階で「自白」を迫られた状況を詳しく話した。
警察に連行された後、一日中「おまえがやったんだろう」と問い詰められ、けられたりもしたが「やっていない」と否定し続けたという。「証拠がある」と言われても否定していたが、午後9時すぎに「もういいや、どうだって」と思ったという。
菅家さんは「それで悔し涙を流した。全然分かってもらえないから。それを刑事たちは認めてわびたと勘違いしている。それで『やりました』と言ってしまった」と話した。さらに「私は気が弱く、言い返すことができなかった。悔しかったが、いずれ分かってくれるときが来ると思っていた」と述べた。
その上で菅家さんは「これから再審が始まる。(17年半拘束された理由の解明を)徹底的にやる」と語気を強めた。
出席議員から国会で取り組んでほしいことを聞かれた菅家さんは「死刑廃止をお願いします」と要望した。
また佐藤弁護士は「菅家さんの無期懲役を確定させた最高裁判事を国会に証人喚問してほしい」などと訴えた。