「9300円未満の日雇いバイトを探しているんだけど」
アルバイト情報サイト「おてつだいネットワークス」を運営するロケーションバリュー(東京都千代田区)には最近、こうした問い合わせが増えている。そのほとんどが本業の勤め先を持っている会社員だと同社は見ている。
夏季休暇の8月は2倍超へ
なぜ、9300円未満なのか。
日雇いや日払いアルバイトの場合、9300円未満ならば所得税を源泉徴収されない。逆に、日給9300円以上のアルバイトをして源泉徴収されれば、回り回って本業の勤め先に副業がバレてしまう可能性があるのだ。また、年度末に確定申告をしなくて済むよう、年間の副収入を20万円未満に抑えようとする人もいる。
副業を原則禁止としている企業は多い。税金の仕組みを丹念に調べ上げ、会社に内緒でアルバイトをする人が増えている。「単刀直入に『このバイトをすると会社にバレますか』と聞いてくる求職者もいる」とロケーションバリューの砂川大社長は語る。
不況で仕事量が減り、給与、賞与ともカットされた人は少なくない。家計の不足分を補おうと副業に走る。
人材各社の調査を見ても2009年4〜6月期、会社員のバイト応募件数は前年同期の1.6倍に増え、副業経験がある人は30.8%で2年前の1.8倍に上る。副業への関心度は未経験者でも56.5%と高い。
特に会社員が夏季休暇に入る8月は突出する傾向がある。おてつだいネットワークスの新規利用者は今年8月、会社員が前月の2倍以上となり、フリーターや学生、主婦の人数を超えた。
一方で企業が副業を認める動きは限定的だ。
自動車や製造各社が一斉に減産体制に入った2009年初頭、日産自動車、東芝、富士通マイクロエレクトロニクスなどは相次いで工場労働者の副業を条件付きで認めた。
しかし、実際にはほとんど活用されないまま東芝と富士通は通常生産に戻った。
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