2009年9月18日1時39分
販売店ではエコカー減税対象車のセールスに力を入れる=東京都世田谷区 |
自動車関係諸税に上乗せされてきた暫定税率について、鳩山新政権の藤井裕久財務相が10年度に廃止する方針をさっそく明言したことに、自動車業界や石油業界は期待を寄せる。一方で、引き換えにエコカー減税がなくなる心配や、「地球温暖化対策税」導入への不安を抱いている。
自動車取得税と自動車重量税の撤廃を求めてきた自動車業界は、暫定税率の廃止をひとまず歓迎する。ただ「引き換えにエコカー減税が打ち切られるのではないか」との不安も漂い始めている。
環境対応車が対象の取得税と重量税の減税は、景気刺激策として4月に開始。電気自動車やハイブリッド車(HV)などが100%減税で、排ガスや燃費で基準を満たす車も75%か50%減税となる。
日本自動車工業会(自工会)によると、8月の新車販売台数に占める減税対象車は61.4%に上り、軽自動車を除く13カ月ぶりの前年比プラスに貢献した。各社も対象車の拡充を進め、国内8社のまとめでは、販売する計201車種のうち94車種で対象モデルをそろえる。4月1日から20車種も増えた。
減税は12年春まで3年間続くことになっている。だが、そもそも「自公政権が、厳しい財政状況の中、暫定税率を維持する代わりに3年間実施するということになった」(トヨタ自動車幹部)経緯がある。暫定税率廃止になれば減税根拠がなくなる、というのが業界の不安の理由だ。
税率が本来の約2倍に上乗せされている暫定税率がなくなれば、税額は半分になり、減税対象外の車は「値下げ」になる。ただ、同時に減税が打ち切られれば、今の100%、75%の減税対象車は「値上げ」になる。トヨタ自動車のHV「プリウス」の最低価格モデルは今、約14万4500円が免税されているが、逆に7万5千円ほど課税される。プリウスは受注が集中し、今、注文しても納車は来年5月中旬以降。販売店からは「今さら減税打ち切りとは言えない」との声も漏れる。
6月から申請受け付けが始まったエコカー購入補助金は今年度末で終わる予定。減税も打ち切りとなれば、市場回復を先導してきた「エコカー効果」が薄れる懸念が高まる。
自工会の青木哲会長(ホンダ会長)は17日の定例会見で、「エコカー減税をやめる動きがあるとは認識していない。3年間しっかり、予定通り維持してもらいたい」と話し、「打ち切り議論」の拡大に予防線を張った。(小暮哲夫、大日向寛文)