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【社会】官僚に戸惑いと反発 次官会見廃止 『何も話せないのか』2009年9月17日 夕刊
鳩山内閣が、各省庁の事務次官ら官僚による記者会見を原則禁止する方針を打ち出した問題は、政権発足から一夜明けた十七日、各省庁に波紋を広げた。新政権が目指す「脱官僚依存」の姿勢を強く打ち出した形だが、「省としての分析や見解が加えられない」など、官僚から戸惑いと反発の声も出ている。 ■文科省川端達夫文部科学相は十七日未明、「政治家が関与しないところで役人が物を言うのはやめようということ。情報発信は政治家が責任を持つ。情報を出さないわけではない」と説明。役人の取材逃れの言い訳や萎縮(いしゅく)につながりかねないが「そういうことがないよう努める」と述べた。 だが、文科省には戸惑いが広がる。報道機関から幹部職員にインタビューの申し入れがあったらどうするか。一般公開している審議会で、どこまで話していいのか。具体的な線引きは示されておらず、混乱が続きそうだ。官僚の一人は「うちの記者発表は調査結果の公表も多く、省として分析や見解を添えなければならない。そういうときも何も話せないのか」と頭を抱える。 ■厚労省厚生労働省の幹部は「政治的な判断を伴うようなものは、事務方にやらせないということ」と話し、次官会見だけでなく事務方が行う会見も、事前に大臣の許可が必要になりそうだと明かす。 新型インフルエンザ対策では毎週二回、定例の記者会見で、専門知識を持った医系の技官が最新の感染者数や対応策を説明している。ある職員は「一斉に説明できる会見を中止すれば、個々に説明するのに膨大な時間がかかる上、言い回しが微妙に異なり厚労省の統一見解が正確に伝わらない恐れもある」。 ■国交省国土交通省の幹部は「一種の“かん口令”。マスコミ嫌いの役人に限らず、取材拒否にお墨付きを与えてくれた」と皮肉る。別の幹部は「小沢一郎前民主党代表の秘書の政治資金規正法違反事件では、口を閉ざす若手議員が多い印象を受けた。役人は政治的に中立だが、政治家にしか省の見解を表明する会見が許されない制度で、与党に都合の悪いことも公正に情報開示されるのか」と懸念した。 ■気象庁気象庁では十七日に予定されていた桜井邦雄長官の定例会見を中止。広報室によると、内閣府から国土交通省を通じて「廃止対象には、外局の長の会見も含まれる」との説明があったという。 同庁の場合、長官を含む幹部職員の会見は地震や気象の専門的な内容の解説が多く、防災上の注意点を広く市民に呼び掛ける場にもなっている。職員の間には「ハトが豆鉄砲を食らったような話」「できれば今後も続けたいのだが…」など、戸惑いが広がった。 ■警察庁警察庁の幹部は「長官の会見だけが対象なのか、幹部や担当者による政策に関する説明もできなくなるのか。線引きがよく分からない」と戸惑う。 「政治家が全部責任を持って、情報発信をやるというのであれば、お任せしてしまったほうが楽といえば楽。だけど警察庁には副大臣や政務官はいない。大臣一人でやっていけるのか」と疑問を投げ掛けた。
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