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公共交通使いCO2削減

金沢の小学校3年間の成果

 環境保護にも役立つ公共交通機関の重要性を小学生に教える、金沢市のモデル事業「交通環境学習プログラム授業」が、最終年度となる3年目を迎えた。子どもの頃から、公共交通を使う意識を持ってもらい、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につなげるのが狙いだ。モデル校の田上小(6年)と四十万小(5年)では9月上旬、最後の授業が行われた。(赤松正基)

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二酸化炭素削減の必要性を児童に呼びかける金沢市職員(左)(9日、金沢市立田上小で)

 9日、田上小6年2組で、講師を務めた市職員が「家に2台以上、車がある人はいますか」と尋ねた。多くの児童が手を挙げ、中には4台以上所有している家庭もあった。

  増え続ける車に対し、公共交通の利用者は、じり貧状態。市内の自動車保有台数は、1998年度末は約29万9000台だったが、2007年度末は約32万3000台に増えた。一方、市内JR4駅の乗客数は、99年度の1013万人から昨年度は972万人に減った。バスの市内線乗客数も99年度の2779万人から、昨年度は2172万人に落ち込んだ。

  授業では、地球温暖化によって、海面が上昇したり、植物の生育に異変が起きたりすることなどを説明。家庭でできる防止策として、車の利用を10分減らすと、CO2700グラム(2リットルのペットボトル19本分)を減らせるほか、バスなら1人を運ぶためのCO2排出量が、車の4分の1で済むことを教えた。

  6年2組は、夏休み中の車利用を1家庭60分減らすことを目標にした。この日、クラス全員の削減時間を合計すると、55時間30分になった。買い物や習い事に行くのに、バスや自転車を使った児童が多かった。4時間減らした例もあったが、「暑いし、坂が多い」と親の協力が得られなかったケースも。

  2時間5分削減した中村俊希君(11)は「未来のために、行動することが大切だと感じた」と話す。担任の廣田竜一教諭(36)は「抽象的になりがちな地球温暖化の授業だが、具体的にイメージできる」と評価しながらも、「テーマが車だと、子どもは運転しないので主体的に取り組みにくい」と課題を挙げた。

  今月8日に行われた四十万小の授業では、児童が家族に、公共交通を使うよう呼びかける手紙を書いた。市は国土交通省の外郭団体「交通エコロジー・モビリティ財団」の助成を受け、計7校でモデル事業を実施した。3年間の事業費は約900万円。市は授業内容を検証し、教師用の指導マニュアルや教材を作る。

2009年9月17日   読売新聞)
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