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なぜ中古バイク買い取りは、大量宣伝しても儲かるか

プレジデント9月17日(木) 10時 0分配信 / 経済 - 経済総合
バイク王を中心に中古バイクは「環流」している!
■オークションというマジックがカネを生む

「バイクを売るならゴー、バイク王〜♪」と、店名と電話番号の語呂合わせでタレントが踊る。
 買い取り専門店の「バイク王」の広告はテレビ、ラジオ、雑誌、インターネットや携帯電話のバナー広告に至るまで、あらゆる媒体で露出している。
 この買い取り専門店を運営するのが渋谷区広尾に本社を構えるアイケイコーポレーションだ。

 しかし、勢いのある同社の宣伝とは裏腹に、市場には北風が吹く。国内のオートバイは需要が激減。国内新車総需要は1982年の329万台をピークに減少し、日本自動車工業会は2009年度の総需要を47万台、前年度比86%と予測した。
 それでも加藤義博社長に悲観的な考えは一切ない。
 加藤社長はバイクショップのアルバイトから買い取り専業へと転身した後にアイケイを立ち上げた。
「バイク市場は縮小しているとは全然思ってません。目の前にすごく大きな可能性が広がっていて、その中でビジネスしている感覚です」

 同社の決算は好調だ。98年の設立以来右肩上がりで、04年8月期から08年8月期の4年間で売上高(連結)は約2.5倍の245億円に成長した。約15社あるバイク買い取り専業の中で堂々のトップとなっている。
 同社が成功した要因のひとつに、ほかのバイクショップや四輪車買取業者のように店舗で客を待たずに、出張買い取りに出たことがある。
「買い取りが定着するまでのバイクは、どちらかというとお客さんは“乗り潰す”感覚でした。『エンジンが動かない』とか『パンクしている』から、引き取って処分してもらいたいなどというニーズが強かった。そこでバイクのある場所へ出かけていって査定をし、書類手続きまで代行するようにしたのです」(加藤社長)

 普通のバイクショップは、買い取った車両を整備して店頭で販売する。同社はそのバイクをオークション運営会社に持ち込んだ。このカラクリこそ中古バイク買い取りビジネスが儲かる秘訣である。オークションでは即時決済。さらに在庫の負担なしで多額のキャッシュを得ることができる。
 オークション価格以下で買い取れば、買い手を心配しなくても落札されれば、赤字にはならない。キャッシュリッチなうえに、極めて手堅いビジネスなのである。
 オークションでは常にまとまった台数を供給し続けることで、「プライスリーダーになりうる」と、加藤社長。

 アイケイはJASDAQ(06年廃止)、東証二部と上場し、資金調達力を増強。他社が街角に駐車するバイクに買い取りを促すチラシを結びつけている間に、バイクメーカーを凌ぐ広告展開で成長を加速させた。
「我々のビジネスはお客さんから『売りたい』という電話をどれだけ鳴らしてもらえるかが勝負。売り上げに直結する入り口ですから、通販会社と同じようにコマーシャル戦略が重要なのです」(加藤社長)
 同社は宣伝広告費だけで年間約36億円を投入。電話対応の買い取りだけでなく、全国100店の店舗展開も09年で完了した。

 こうして今では主要オークション取り扱い台数45万6000台のうち約15万台を出品する文字通りの“バイク王”になった。
 不況を背景としたユーザーの新車志向から中古車志向への流れが、同社のビジネスを後押ししている。


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中島みなみ=文

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  • 最終更新:9月17日(木) 10時 0分
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