SakuraFinancialNews

PJ: 小田 光康

民主党と記者クラブが「密約」、首相会見出席は特例かつ限定的にと
2009年09月16日 13:52 JST


 

【PJニュース 2009年9月16日】民主党・鳩山由紀夫代表の首相就任会見の出席要件をめぐって、民主党と首相官邸の記者クラブ「内閣記者会」とで会見解放を限定的かつ特例的にするとの密約があったことが16日、PJニュースの取材で明らかになった。

また、16日午後開かれる首相官邸での首相就任会見のフリーランスや市民記者、ブロガーの出席はできないことが分かった。

関係者によると、官房長官に就任した民主党・平野博文氏から内閣記者会へ首相就任会見についての出席要件の打診があったのが9月14日。その際、平野氏からは、外国特派員と雑誌・専門誌記者の出席認可要請があったものの、フリーランスやネットメディアの記者について言及はなかった。

この結果、外国特派員と雑誌・専門誌記者に限って、記者クラブ員以外の記者の出席を認めることで15日、民主党と記者クラブの間で合意した。また、記者クラブ側は民主党側にこの措置が特例であることも伝えたという。

首相就任会見出席の是非について、民主党の報道担当部署を受け持つ役員室は、密約後の16日午前の時点になっても、記者クラブ員以外の記者の出席についての是非はおろか、記者会見の日時や場所なども「まったくわからない」と、PJニュースの取材に対して回答していた。

これについて、民主党関係者は「首相就任会見での混乱を最小限にとどめたいという幹部の意向があった。これからも記者・ジャーナリストなら誰にでも解放、というわけにはいかないと思う」と説明した。また、民主党役員室の報道担当はフリーランス記者や市民記者の首相官邸での記者会見出席について、「要望として承っておきます」とだけ答えた。

民主党の記者クラブ対応について、内閣記者会に所属した経験のある大手新聞社のベテラン政治記者は「外国特派員と雑誌・専門誌記者を認めたのはある種のガス抜きでしょう。これまでうるさかった外国人や週刊誌記者の口をふさぐ意味もあります」との見解を示した。

鳩山氏は今年5月の党代表就任会見で「政権を取って官邸に入った場合、記者クラブ制の中では批判はあるだろうが、当然どんな方にも入っていただくオープン性を高めていく必要がある」と公的機関での記者会見を記者クラブ員以外にも公開すると明言した。

PJニュースの市民記者やブロガーの首相官邸での記者会見出席の可能性について、この記者は「まず考えられない。これは記者クラブや民主党の意識というより、政権を取った政治権力という立場からです。そんなことをしたら、権力がマスコミの情報操作もできなくなるし、すべてのジャーナリストを敵に回して、政権が転覆しかねない。記者クラブ解放は外国特派員や雑誌・専門誌記者といった『マスコミ』止まりで、それ以上は絶対にあり得ない」との見方を示した。

また、民主党のいわゆる『記者クラブ解放宣言』について、この記者は「うるさい記者を取り込む、野党時代の民主党の戦略ですよ。政権を取ったら、手のひらを返したような態度になる。それが今回のPJニュースへの取材対応でも分かったはず。今回の民主党と記者クラブ間でのこそこそとしたやりとりだってその証拠ですよ。権力に『友愛』などあるわけないでしょ」と解説した。

今後、記者クラブ員以外の記者・ジャーナリストの首相官邸で開かれる記者会見出席や記者クラブの出入りを認めることに関して、内閣記者会は16日、PJニュースの取材に対して、「まず、記者クラブの規約を改めなければならない。検討はしたいが、時間的な関係で難しい。首相官邸のセキュリティの問題もある」と回答した。

官邸を始め、中央官庁や地方自治体、産業別に日本国内に記者クラブは数多く存在する。クラブの会員は大手新聞やテレビ局の社員記者に限定され、雑誌記者や外国人記者、フリー・ジャーナリストは原則、入会が認められない。官庁にある記者クラブの運営費の大半は、国民の税金から拠出されている。国民の知る権利の幅が拡がるには、まだまだ時間がかかるのかも知れない。【了】

■関連情報
民主党が「記者クラブ問題」で取材拒否、記者クラブ解放はウソか
米国では記者クラブ無く、自由な取材報道活動が可能=記者クラブ物語(1)
「記者クラブ員以外の出席について、何も決まっていない」=鳩山代表の首相就任会見で民主党
マスコミが伝えなかった記者クラブ問題=民主党鳩山代表の就任会見
民主党が政権を取ったら一番困るのは誰だ? 記者クラブで安穏とするマスコミか



関連記事:
タグ:
pagetop

PJ 記者