ひき逃げ事故で長男を亡くした長崎県佐世保市の大川孝行さん(49)夫妻が、現場から逃走したため飲酒運転で立件されなかった運転手の男性(23)らに総額約8500万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁久留米支部は17日、男性と車の所有者の母親に計約2000万円、車の同乗者2人に計110万円の支払いをそれぞれ命じた。
田中哲郎裁判官は「男性は事故の約3時間40分前まで飲酒しており、事故当時、酒気を帯びて運転していた」と認定、同乗者についても「事故の被害者を救護する義務があった」と述べた。
判決によると、男性は2006年9月7日未明、福岡県久留米市で車を運転中、バイクで転倒した大川さんの長男=当時(20)=をひき逃げして死亡させ、事故の2日後に警察に出頭した。
男性は業務上過失致死罪などで起訴され、公判などで飲酒を認めたが、事故後に逃走してアルコール検査を免れたため、飲酒運転の刑事責任は問えなかった。男性は07年2月、懲役1年6月の実刑判決を受け、刑が確定した。
判決後、大川さんの弁護人は「飲酒の影響が過失割合に反映されており、一定の責任を問えたと思う」と話した。
=2009/09/17付 西日本新聞夕刊=