もどる


もうひとつの学び舎とは



〜イントロダクション〜

学校週5日制の完全実施や総合的な学習の時間における地域との連携など、「学びの場」の定義がここ数年で大きく変わろうとしています。また学校での教育に大きく依存してきた地域社会では、本来持つべき「もうひとつの学びの場」としての機能を失いかけています。「もうひとつの学び舎事業」は、そういった機能を地域によみがえらせようとするプロジェクトです。



〜もうひとつの学び舎のねらい〜

○子どもが創り出す新しい学びのかたち

学び舎のプロジェクトの特徴は大人が全てを用意するのではなく、子ども達が興味に合わせ、自分たちで学びのプログラムを組み立てられる点です。学校での通常カリキュラムと違い、「押し付けず」、「せかさず」、伸び伸びと子どもたちが自分で学びを組み立てられる環境を用意する、あとは子どもたちが本来持っている好奇心や探求心など、潜在的な力やそのすばらしい可能性を見守るというスタンスで関わっています。

○参加体験を通した社会とのつながり

日頃学校で学んでいることと実社会とのつながりが見えにくいと感じている子どもが多いのではないでしょうか。それは子ども達を不安にさせるかもしれないし、将来への明るい展望を持ちにくくしている要因かもしれません。自分たちのくらしや住んでいる地域に対する理解を深め、地域の魅力や豊かさに気づくことができれば、子どもたちは明るい未来像を描くことができるでしょう。またそこから発展して、地域にある身近な問題に目を向け、自分が主人公になってより良い社会を創り出す作業に加わることや、実際に現場で活動するNPOと接してそのテーマを学ぶことで実社会=地域とのつながりをよりクリアに示すことができるはずです。

○関心から関わりへ

自分の周りの環境に対して興味を持ち始めた子どもは、次第に関心の輪を広げ、独自の視点で自分にとっての理想の社会像をイメージできるようになります。みんなが住みよい社会をイメージし、自らデザインする。そのような一連のトレーニングを続けることで将来に渡って社会に対する強い関心と責任を持つ、市民社会の担い手を育成することができるのではないでしょうか。



〜もうひとつの学び舎の理念〜

  子ども参画型の学びを実現するために、センターが掲げた理念・キーワード

  Vision
   子どもは小さなおとな
   子どもには子ども用の知識を与え、自分の世界とは大きく切り離して捉えている大人たち。
   しかし子どもは無力な存在ではなく、この街の一員で未来の担い手としての十分な能力を
   持っています。

  Policy
   結果よりプロセスが大切
   学びや発見、本当の楽しみはプロセスの中にこそあります。知識を詰め込むのではなく、
   子どもたちの秘めた力を引き出そう。

  Practice
   「早くしなさい!」と言わないで
   指示まち・無気力な人間になってほしくなかったら、おとなはじょうずな聞き手となって、ゆっく
   り待ちましょう。たとえ彼らの出した答えやその順序が間違っていても、遠回りしているように
   見えてもじっと我慢。子どもの参画実現のためには大人側に強い忍耐力が必要です。 



学び舎の先にあるもの〜NPO支援センターとしての視点〜

  ◎地域での体験を再び地域へ、家庭へ
地域で活動するNPO・ボランティアグループは日増しに増え、これまで行政が提供してきた
公共サービスや、次代を見据えた革新的な事業を担う主体として大きな期待が寄せられ
ています。地域のNPO(民間非営利組織)を支援する中間支援組織でもある私たちとして
は、自分たちの住む地域社会を自ら意思決定し自治していけるような市民を育てることも目
標の1つです。また、今回の「もうひとつの学び舎事業」には、学生を中心に多くのボランティ
アが関わり(*1)、また子どもたちも保護者と一緒にプロジェクトに参加する姿が多く見られ
ます。これは事業企画当初から、子どもの参画を実現するために、地域の大人たちや保護
者を巻き込むことの重要性が認識されていたためです。そのためどのプロジェクトも保護者
の参加を受け入れており、体験や経験を家族で持ち帰り、家庭の中で話題を発展させること
を期待していた主催者としては狙い通りの結果となりました。ただし、子どもの自主性を育て
ようとするならば、常に保護者同伴でのプロジェクト参加は諸刃の刃となることも認識してお
かねばならないでしょう。

                     ※112名のボランティアスタッフが参加した。(うち学生70名)

  ◎潜在的意識層の開拓
3人に1人がボランティア経験者といわれる現代の日本社会であるが、NPOが取り組む地
域の課題や自分たちが理想とする社会のイメージについて日常的に考え、それに向けたア
クションを起こしている市民はまだまだ多いとは言えません。子どもたちと同様に大人たちの
多くは地域コミュニティへの参画経験がほとんどない場合が多いと考えられます。子どもに
社会参画を促すためにはまず、大人が社会への関心を持ち、将来の大人である子どもととも
に日常的な家庭の話題として社会的なテーマが語られることが重要です。そういう意味では
「民主主義を学ぶコミュニティの拠点」としての学び舎の機能が求められています。

  ◎地域のNPOネットワーク
子どもを対象にした事業に他の団体を巻き込もうとするとき、ともすれば子育て関連のボラン
ティアグループや教育NPOだけを連携対象として捉えてしまうことがあります。しかし地域で
活躍するNPOには他にも環境・教育・まちづくり・福祉・高齢者・外国人問題など、様々なテ
ーマに取り組む団体がたくさん存在します。地域のNPOを幅広くネットワークするNPO支援
センターでもある私たちは、各団体や個人が持つ多様な活動テーマやフィールド、専門性を
子どもたちのために提供して欲しいと持ちかけ、結果として2002年度には19の団体が参
画することになりました。



もうひとつの学び舎参加費用について

1)参加費用
「入舎登録料」
  ☆ 一般     子ども1人    5,000円 (2人目以降同一家族の子ども1人につき3,000円)
  ☆ センター会員 (保護者の方が、特定非営利活動法人 奈良NPOセンターの会員である場合)
     子ども1人    3,000円 (2人目以降同一家族の子ども1人につき3,000円)

「プロジェクト参加費」    1プロジェクトにつき1,000円(ただし、5プロジェクト以上の場合は5,000円)

2)参加費用に含むもの
  ・ ボランティア行事用保険加入費用
  ・ もうひとつの学び舎パスポートを発行します。
  ・ 学び舎通信をお届けします。

注意) 特定非営利活動法人 奈良NPOセンターが主催する「もうひとつの学び舎事業」各プログラム
参加中は、全国社会福祉協議会の「ボランティア行事用保険」により事故・怪我等による損害が補償さ
れています。
当該保険の補償範囲を超える過失責任については責任を負いかねますので、ご確認の上ご参加くだ
さい。


3)参加費用に含まれないもの(各自ご負担願います)
  @ 体験活動を行う会場までの交通費
  A 昼食代
  B 施設見学の場合の入場料、材料費 等の実費


もどる