水道水 vs ペットボトル水
クールな人は水道水を飲んでいる?

日本では、ペットボトルの有害性やリサイクルの必要性は叫ばれていますが、「ペットボトル入りの水」に対する批判は未だ少ないのではないでしょうか。

一方、ニューヨークを始め、アメリカの環境先進都市では、レストランがペットボトル水をメニューから排除したり、エコ推進者が非買運動を行うなど、ペットボトル入りの水に対する批判や議論が非常に盛ん。
07年の夏には、ニューヨーク市による水道水を飲もうというキャンペーンが行われ、マリオ・バタリシェフの高級イタリアン、デル・ポストをはじめ、多くのレストランがこれに賛同、ボトル入り水の提供を廃止しました。

ペットボトルの水を飲む人は、ファストフードのハンバーガーを食べる人と同様、環境のこと考えてない、かっこ悪い、なんて目で見られるようになり、逆に水道水を飲むことは、オーガニック食品を食べることと同様に、環境のことを考えていてクール、というムーブメントが起こりつつあるのです。

なぜ水だけが議論の対象になるのかというと、そもそもペットボトル入りの水と水道水は味も安全性も大して違いない、という議論が何年も前から盛んだったことに加え、環境問題が市民の大きな関心事になり、ペットボトルの有害性が叫ばれてからは、その議論が環境論者に飛び火し、水道から飲めるものを敢えて人体にも環境にも有害なペットボトルに入れて売る・買う必要はない、フランスやアイスランドの水をニューヨークまで運ぶ際に排出するCO2で地球温暖化が進む、なんていう議論が白熱しているのです。

「エベレストxx」だとか、「xx氷河」なんて名前のついた水でも、実際は地元の水道水をろ過しただけのことも多く、現在流通されているペットボトル水の25-40%はただの水道水という調査結果すらあるといいます。
また、アースポリシーインスティチュートという機関が行った調査では、アメリカ人が一年間に消費するペットボトル水を製造するのに1500万ガロンの石油が使われているというデータもあります。
さらに、流通しているペットボトルのうちたった20%程度しかリサイクルされていないという現状もあり、ペットボトル水の無意味さがさかんに取りざたされているのです。

シカゴ市では、08年初からペットボトル水税を導入。ぺリエや味のついた水以外の純粋なペットボトル入り水に対し、1本につき5セントの税金がかけられています。

ニューヨークは、アメリカで水道水をろ過せずに飲める5都市のうちのひとつだそうですが、実際のところどうかというと、地域やアパートによっては、水道管が古く、ろ過したほうがよいこともあり、一概に水道水の水質が良いとは言えないこともあります。
市では全世帯が水道水を飲めるよう、きれいな水の提供を促進していますので、それが実現されるようになったら、本格的にペットボトル水の廃止が進んでいくでしょう。

ペットボトル水を販売している飲料メーカーなどはこの動きにさかんに反論。ポーランドスプリングでは、30%プラスティック量を減らしたペットボトルを開発したりしていますが、水道水が飲める品質であれば、ペットボトルを買う必要はなくなりますから、環境のためにも、市や国が努力して安全できれいな水道水を提供してくれることを期待したいですね。