朝青龍が引き落としで雅山を下す=両国国技館
「大相撲秋場所・3日目」(15日、両国国技館)
横綱朝青龍が、変化で白星を拾った。立ち合いで左に踏み出し、左張り手を雅山に見舞うと、そのまま引き落とし。横綱相撲とは言い難い省エネ相撲で、初日から3連勝とした。横綱白鵬も栃ノ心を寄り倒して3連勝。大関千代大海は小結把瑠都に寄り切られて2敗目を喫した。
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歓声とため息が響いた。立ち合った次の瞬間、朝青龍はうつぶせになった雅山を見下ろしていた。左足を左に踏み出し、張り手を繰り出しながら突進をかわした。時間は0秒8。まばたきする間もない決着だった。
初日、2日目と、真っ正面から粉砕した相撲とは対照的だった。準備運動では、付け人相手に気迫のこもった頭突きを連発。ふらふらになりながら、付け人は「気合が入っている」と、横綱の充実ぶりを認めていた。
ふたを開けてみれば、拍子抜けするような内容だった。雅山は「2日間見たら、(横綱が)思い切りいっていたから、自分も思い切りいったけど」と悔しがるばかり。相撲協会の事務所には数本の抗議電話が鳴った。
支度部屋では、報道陣に背を向け無言。帰り際に「変化は作戦か?」と問われると、表情をこわばらせ質問者をにらみつけた。武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は「張り差しにいったんだろう」と擁護したが、朝青龍自身が変化したことを一番分かっているようだった。
(2009年9月15日)