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平成21年4月
韓国等が日本海の名称に異議を唱え初めたのは、1992年の第6回国連地名標準化会議が最初です。それまでは、二国間でも、国際会議の場でも、日本海の名称に異議が唱えられたことはありませんでしたが、突然、韓国等は日本海の表記を「東海(East Sea)」と単独に表記するか、あるいは日本海と「東海」を併記すべきであると主張してきたのです。
日本政府の古地図調査の結果、既に19世紀初頭には日本海の呼称が他を圧倒して使われるようになった事実が確認されています。この時期の日本はいまだ鎖国政策をとっており、このような日本海の名称確立に何らかの影響力を行使したということはありません。したがって、19世紀後半の「日本の拡張主義や植民地支配」によって日本海の名称が広がった、との韓国側の主張は全く妥当性がありません。また、最近では、6.で述べるとおり、韓国政府も、「日本海の名称が日本の拡張主義や植民地支配の結果広められたものではない」ことを認めたと評価できる調査結果を発表しています。
韓国は過去2000年間「東海」が使用され続けているという主張の根拠を示していません。また、現在韓国国内では「東海」が用いられているとしても、「東海」はあくまで韓国国内の名称であって、当該海域について国際的に長くかつ広く用いられてきたのは日本海のみです。
韓国は、日本海と「東海」との併記を勧告する国連及びIHOの決議があると主張しています。
しかし、国連地名標準化会議決議V/20及びIHO技術決議A.4.2.6は、湾や海峡など2つ以上の国の主権下にある地形を想定したものであり、日本海のような公海には適用がありません。このことは、「太平洋」や「大西洋」に接している国の一か国でも異議を唱えたら複数の名称が併記されることとなれば、収拾がつかなくなることを考えれば当然のことです。
また、4.で述べるとおり、国連は、国連公式文書では標準的な地名として日本海が使用されなければならないとの方針をとっていることが公式に確認されており、IHOが出版している「大洋と海の境界」(S−23)でも、当該海域について日本海の単独表記が明示されていることからも、日本海と「東海」の併記を勧告する国連及びIHOの決議が存在しないことは明らかです。
韓国側が行った古地図調査の結果(2004年:東海協会)では、「東洋海(Oriental Sea)」、「朝鮮海(Korea Sea、Sea of Korea)」を「東海(East Sea)」と同一視し、これらの呼称が使われている地図の合計数と、日本海が使われている地図の合計数とを比較しています。
「朝鮮海」と「東海」が異なることは言うに及びませんが、「東洋海(Oriental Sea)」は「西洋から見た東洋の海」であるのに対し、「東海(East Sea)」は「朝鮮半島の東側にある海」を意味するものであり、「東洋海」と「東海」も起源や意味が全く異なる名称です。また、同調査結果をよく見ると、「東海」は他の名称に比べて非常に少数であることが分かります。
我が国がフランス国立博物館において古地図調査を行った際には1,495枚を調査しましたが、韓国側の同博物館での調査は、約3分の1の515枚を対象としており、その結果も我が国の調査とは全く異なるものでした。(→5.)少なくとも我が国の調査の方が網羅的であることは明らかです。
我が国としても、韓国等が自国国内で「東海」の名称を用いることに反対しているわけではありません。しかし、国際社会が現に使用してきている日本海の名称を、「東海」に変更させようとする動きは、国際的な海上交通の安全面にも影響を及ぼしかねない混乱を生じさせるため、認めることはできません。日本海は国際的に確立した唯一の呼称であり、何ら争うべき余地はありません。国連地名標準化会議(UNCSGN)、国際水路機関(IHO)などの国際会議の場において、韓国等がこれらの主張を行った場合には、我が国としては断固反駁しています。
(1)国連地名標準化会議及び国連地名標準化会合での取り組み
(1)国連の方針
国連は2004年3月、日本海が標準的な地名であることを認め、国連公式文書では標準的な地名として使用されなければならない、との方針を公式に確認しています。また国連事務局は併せて「いずれの立場にも与するものではないが、(日本海と東海の)併記は慣行を破ることから中立を維持できないこととなり、公平を担保せんがためにこそ、確立した慣行を維持する必要がある」との考えも表明しています。
米国の政府機関である米国地名委員会は、「Sea of Japan」(日本海)が、当該海域について同委員会が認める唯一の公式的な名称であることを正式に決定した上でその旨を公表しており、米国のすべての連邦政府機関は「Sea of Japan」の使用を義務付けられています。また、その他の米国内の機関でもその使用が強く推奨されています。
外務省の調査の結果、18世紀までの欧米の地図では、日本海のほか、「朝鮮海(Sea of Korea)」、「東洋海(Oriental Sea)」、「中国海(Sea of China)」等、様々な名称が使用されていましたが、19世紀初頭以降、日本海の名称が他を圧倒して使われるようになった事実が確認されています。
(2)仏国立図書館調査結果
(3)米議会図書館調査結果
(4)ロシアにおける調査
(5)ドイツにおける調査
韓国建設交通部(現:国土海洋部)国土地理情報院という政府機関が2007年11月に発表した古地図調査(日本の仮訳)(PDF)は、従来からの韓国側の調査と同様の問題点(2.(4))はありますが、「19世紀(1830年〜)以後、日本海表記が急増するようになった」との記述があり、注目されます。この調査結果は韓国政府が2.(1)にあるとおり、少なくとも、「日本海の名称が日本の拡張主義や植民地政策」よりもずっと前から広まっていたことを認めたものと評価できます。
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