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PJ: 三田 典玄

戦いすんで陽が暮れて〜選挙後のネトウヨの風景
2009年09月15日 10:20 JST


自民党が選挙期間中に大量に配布したパンフレットの表紙。自民党ホームページからPDFでダウンロードできる。 

【PJニュース 2009年9月15日】8月30日の深夜「大逆転」の選挙が終わった。そして、最初の1週間はほんとうのお祭りとかチョウチン行列こそ無かったものの「新しい日本への期待」が高まった。そして、2週間めを迎えた。ようやくこの頃になって報道も組閣人事など、これまであたような選挙後の報道に戻ったし、その熱狂も冷めた。加えて、ネットでは先週から、巨大匿名掲示板として知られる「2ちゃんねる」の様相が変わってきた。PJが30日のその日に出した記事「ネトウヨ」の敗北、「ネットの力」は強くない?の記事も自民信者・ネトウヨ涙目www"の中にリンクが張られていた。

思えば、選挙中に大量にばらまかれたピンク色の自民党発行と書いてある民主党攻撃のパンフは、この「ネトウヨ」の言論がほとんどコピーされて使われていたと思えるものだった。今から考えればそれが懐かしく、まるでずいぶん昔のことのように思えるのは、その熱狂と今のこの「冷めた時間」のギャップがかなり激しいからだろう、とPJは勝手に思っている。

それはともかく、今回の選挙で私が特に印象に残ったことの1つは、あれだけ元気に多くのサイトに出没していた「匿名で語られるネトウヨ言論」が全く静かになってしまった、ということだ。まるでネットというものが無かった世界に戻ったような、そんな感じさえする。

もともと、民主党のマニフェストなどは財源が明確に数字で示されていない、など問題がある部分が多かった。一方、自民党はたとえどんな良いマニフェストを出そうが、良いことが書いてあればあるだけ信用されない、という感じで、まゆにツバをつけてみんなが見ていた。もちろん、その原因はこれまでの失政にあることは言うまでもない。つまり、一般庶民からしてみれば、どちらも同じように「信用が無い」ことには変わりがない、というわけだ。実際、どちらのマニフェストもあまり読まれていない、というのは、私の身の周りの人たちに聞いても明らかだった。

であれば、多くの人が選ぶのは「これまで失政をしてきた勢力」ではなく「未知数だがこれまでとは違う勢力」であることは論をまたない。しかも、その新しい勢力はもともとが反対勢力である「自民党出身者」が多く、役人との対峙(たいじ)の場面にあっても「政治の素人」というわけでもない。それなりに頼っても、全くなにも知らないわけではない、という安心感もある。

そのあたりの「大人の事情」を、ネトウヨと呼ばれる人たちはわからなかったのだろう。彼らは必死になって、動画のフラッシュを使うなど、あらゆるネット上の場所、あらゆる方法を駆使して「自民党」を持ち上げ「民主党」を貶(おとし)めてきた。私が所属しているいくつかのメーリングリストにも「危機感があってどうしようもなく」「自民党への投票をお願いする」などという、場違いなメッセージが流れてきて、その発言者が管理者に「ここでは政治の話はしないでください」などと一喝される、という場面もあった。

しかし、結果はこういうことだ。百万言を重ねても、また、世の中に大きな影響を持ちえた、と一瞬思えるようなことがあったとしても、要するにそれはそれだけのことだった、ということだ。

ネット言論は、日本人の大多数の「大人の事情」には勝てなかった。要するに終わって冷めてみればそれだけのことだった。おそらく、ネトウヨがネトサヨであったとしても、結果は同じだっただろう。

あ、この風景、40年ほど前にもどこかで見たような?【了】

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