9月定例県議会の一般質問が15日始まり、森脇久紀議員(共産)が、昨年末に閉園した倉敷市のチボリ公園の総括を石井正弘知事に改めて求めた。石井知事は「事業廃止は遺憾だが、総括はしない」と応じなかった。事業を主導した県は十分な説明責任を果たさないまま、跡地開発が進むことになりそうだ。【坂根真理】
同園を巡っては、第三セクター「チボリ・ジャパン社」の清算手続きが完了。跡地はイトーヨーカ堂を事業主体に再開発されることが決まっている。アウトレットモールなどの商業施設や緑化空間を確保することも明らかになっている。
森脇議員は「官民合わせて474億円が消えたことは、地域経済への影響を考慮しても巨額すぎる。知事は県民の声を聞かず、税金投入を増大させた。知事にその認識や反省があるのか」とただした。
石井知事は「事業を廃止せざるを得なかったのは、極めて遺憾だった」とする一方で、「県民の憩いの場として重要な役割を担った」「地域経済や地域活性化に貢献した」などと一定の成果があったと強調。「県民の視点に立ち、信念をもって最善の選択をしてきた。総括は昨年の9月定例議会で言ったとおりで、改めて総括はしない」と従来の答弁を繰り返した。
森脇議員は閉会後「昨年の総括は、チボリ事業の経緯を説明しただけ。税金の無駄遣いに対する批判は根強く、県民の関心も高い。(県の提案を通した)県議会も含めてチボリ問題をきちんと総括するべきだ」と話した。
毎日新聞 2009年9月16日 地方版