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役人の浅知恵/高山正之(ジャーナリスト)

Voice6月11日(木) 12時34分配信 / 国内 - 政治

 栃木県で日産社員が3人組の不良に拉致された。両親が警察に何度も訴えたが、警官は鼻であしらい、その結果、被害者は凄惨な殺され方をした。県民は怒り、民事裁判で県警は約1億円の慰謝料を支払えと命じられたときは、皆当然だと思ったものだ。

 でもよく考えてみると、その1億円は県民の税金から支払われる。責めを負うべき怠慢で傲慢な警官は停職処分だけで、罰金もなければ退職金も削られなかった。1億円も納税者に肩代わりさせた広畑史朗・県警本部長は、すいませんでもなく「警官がサラリーマン化した」と言い訳した。警官がおまえら納税者と同じにだらけていただけ、そう目に角立てるな、という意味だ。サラリーマンがこんな失態をやらかしたら懲戒免職のうえ、家も田畑も売り払って見舞金をつくるものだ。

 規格と少々違うからとワッペンを3400万円も掛けて作り直させた都下水道局長が減俸処分にされた。無責任役人に始末の付け方を教えるいい見本だが、それでも「減俸5分の1を3カ月間」。雀の涙ほどだ。なぜ懲戒免職にして退職金も取り上げなかったのか。

 都は今年、また1億円の予算を掛けてカラス退治をする。減少一途の都心のカラスが増えはじめたからだが、原因はカラス捕獲の餌を高価なマヨネーズから安い豚の脂にコスト削減をして、捕獲数が減ったためだという。

 カラスがマヨラーとは知らなかったが、都環境局はこうも広報する。「カラスを増やすのは都民が出す生ゴミが主因だ」と。

 よくいう。15年前に小豆畑孝清掃局長がゴミの分別で「都民は信用できない」からと黒のゴミ袋を半透明のゴミ袋に変えさせた。それで山にいた目のいいカラスが大挙都心に移り住んできた。無能な役人の浅知恵がカラス公害を巻き起こしたのが真相だ。

 都は「小豆畑が馬鹿をしました。すいません」というところだろう。それを都民にぬけぬけと責任転嫁する。カラスより悪質だ。

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  • 最終更新:6月11日(木) 12時34分
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