北京五輪柔道100キロ超級金メダリストで総合格闘家に転向した石井慧(22)=国士舘大=のプロデビュー戦の相手が14日、バルセロナ五輪柔道78キロ級金メダリストの吉田秀彦(40)=吉田道場=に決まり、都内で発表された。12月31日の東京・有明コロシアムか、1月3日のさいたまスーパーアリーナのいずれかで行われる総合格闘技団体「戦極」の“ニューイヤーイベント”が舞台となる。石井は、大先輩との新旧金メダリスト対決に向け、柔道着を脱いだ裸一貫での勝負を宣言した。
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柔道とは決別した。石井は「僕は柔道を辞めたんで、柔道着はこれから入場の時にもどんな時にも着ることはない」と言い切った。その言葉を裏付けるかのように、タンクトップ姿で登場。笑顔で力こぶを作るその腕はスコット・スタイナーらマット界のマッチョマンを思わせるほど“極太”に改造されていた。
デビュー戦はプロ格闘技史上初の日本人五輪金メダリスト対決。石井は昨年12月にUFC挑戦を表明して渡米し、現地で独占交渉契約を結びながら、今年2月に“白紙”に戻した。6月、戦極参戦を表明。8・2さいたま大会のリング上でデビュー戦の相手に吉田を指名していた。戦極を主催するWVRの國保尊弘取締役によれば、7月中旬の時点で双方に対戦を打診していたという。
吉田は國保氏が話を切り出す前から「石井選手?いいですよ。それが総合格闘技のためになります」と受諾し、石井も「よろしくお願いします」と即答したという。
会見での石井の第一声は「幼い時から尊敬していて柔道の伝説でもある吉田選手と試合をやるのはすごく幸せ」。その後「誇りに思う先輩」と持ち上げたが、礼を尽くすのはここまで。日本の重量級エースに君臨している吉田は、世界最強を目指す石井にとっては最低限、乗り越えなければならない壁だ。注目の試合日程について、國保氏は「23日までには開催日、イベント名を含めて発表できるかな」と明言した。戦極の9・23さいたま大会の会場で大々的にアナウンスされそうだ。
現在、都内のジムで打撃を磨く石井は「勝つために研究している。そのアゴにパンチを打ち込めるのも本当に幸せなこと。つまらない寝技はしない」と、あえて不慣れな打撃勝負でのKOを宣言。総合格闘家に変ぼうした石井が、その豪腕で時代を変える旅に出る。