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<参照>
<米国オバマ改革の行方(上)>医療制度/国民に直接支持呼びかけ【しんぶん赤旗】========================================
<米国オバマ改革の行方(中)>温暖化対策/排出規制の導入めざす2009.09.09 日刊紙 6頁 国際 (全1,328字)
ブッシュ米前政権からの決別を国際社会に強烈に印象づけたのは、オバマ大統領が気候変動対策を最重要課題の一つに位置づけたことです。目玉政策は、初めて全米規模で温室効果ガスの排出規制を導入する気候変動対策法案の成立をめざすこと。しかし、医療保険制度改革の影に隠れて、いまひとつ機運の盛り上がりがありません。
“連携”の代償 業を煮やしているのは、草の根の環境団体です。全米の300を超える市民団体は議会が夏季休暇中の8月26日、連名でバーバラ・ボクサー上院環境公共事業委員長に書簡を出しました。6月に下院で可決された法案は不十分だとして、産業界に厳しい排出規制を設ける法案を早期に可決するよう求めるものです。
ボクサー氏は、上院で審議される法案の起草者の一人。しかし、1日になって同氏は、9月中にまとめる予定だった法案化作業を1カ月ほど先送りする意向を表明しました。
法案の成立には、当初から二つの障害が指摘されていました。一つは産業界の強い抵抗、もう一つは、国民世論が熱烈ではないという問題です。

オバマ政権がとった戦術は、産業界との“連携”路線です。環境志向型社会が新たなビジネス・チャンスとなるとして、ゼネラル・モーターズ、ゼネラル・エレクトリックなどエネルギー関連産業団体でつくる「米国気候行動パートナーシップ」(USCAP)、電力産業団体エジソン・エレクトリック・インスティテュート(EEI)などから支持を取り付け、政権と産業界の有力な一部が手を結ぶという形をつくってみせました。
しかし、代償は大きなものとなりました。下院で可決された法案は、温室効果ガスの排出を2020年までに05年比で17%削減(90年比で約4%削減)するとしたものの、肝心の産業界に対する排出規制では、電力産業などに総排出枠の85%を一定期間、無償で配分するなど、大きな後退となりました。
与党から反対 これだけの妥協にもかかわらず、下院本会議での採決結果は賛成219、反対212のきん差。与党・民主党から反対者が続出したことは、産業界の抵抗の根強さを物語ります。
上院での審議も難航は必至です。環境非政府組織(NGO)ピュー・センターのアイリーン・クローゼン代表は、米シンクタンク外交評議会のインタビューに答え、法案は可決されるにしても10年にずれ込むと予想。法案がとん挫することは、12月のコペンハーゲンでの国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に向けた国際交渉に悪影響を与えると指摘しています(8月12日)。
しかし、世論の支持は決して弱いわけではありません。米ワシントン・ポスト紙とABCニュースの最新共同世論調査(8月実施)では、オバマ政権の環境政策への支持は57%で、反対の29%を大きく上回っています。
オバマ政権は、7月の主要8カ国首脳会議(G8サミット)で、平均気温上昇を産業革命前より2度以内に抑えることや、50年までの世界の温室効果ガス排出量の半減のために先進国が80%削減する必要があることを米政府として初めて認めました。最低限の国際約束を果たす上でも、オバマ政権の今後のリーダーシップが注目されます。
(ワシントン=小林俊哉) (つづく)
しんぶん赤旗