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<米国オバマ改革の行方(上)>医療制度/国民に直接支持呼びかけ【しんぶん赤旗】<米国オバマ改革の行方(中)>温暖化対策/排出規制の導入めざす【しんぶん赤旗】========================================
<米国オバマ改革の行方(下)>景気対策/雇用の改善がカギに2009.09.10 日刊紙 6頁 国際 (全1,182字)
「わが国の金融システムと経済救済に向けた政策をとってきたが、今は、成長と繁栄のための新たな土台を築くための努力をしなければならない時だ」 オバマ米大統領は8月25日、来年1月末で4年の任期が切れるバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の再任を発表した際に、こう表明しました。
就任後1カ月で総額7872億㌦(約74兆8000億円)に上る大型景気刺激策を成立させ、大型の財政出動に乗り出したオバマ政権。1930年代の大恐慌以来といわれる深刻な経済危機のなかで、金融システムの健全化と景気回復、雇用対策に乗り出したものの、道筋は「完全な状態からはほど遠い」(同大統領)というのが現状です。
先行き不透明 回復の兆しがないわけではありません。
低信用層向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの破たん後、米国の景気低迷の大きな要因となっていた住宅市場で、4月から7月にかけて新築一戸建て住宅販売件数の伸びは、対前月比で4カ月連続のプラスとなりました。
9月3日、ワシントン市内で講演したバイデン副大統領は、この4カ月連続増にふれ、「われわれはFRBとともに、住宅市場の安定化にとりくみ、(市場は)その方向で動き出している」と強調。緩慢な景気回復の中でも、大型刺激策の成果が出始めていることを指摘しました。
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しかし、景気の先行きが依然不透明であることをデータで示したのが、4日に発表された8月の雇用統計でした。失業率は9・7%と26年ぶりの高水準に。1カ月の就業者減は21万6000人で、最悪だった08年11月~09年4月の月平均64万5000人減と比べると収まってきていますが、雇用減は全産業でみられます。
主要産業で、大幅リストラで人件費を圧縮することで当面の利益につなげる、という流れが続いているためです。
米議会予算局(CBO)のエルメンドーフ局長は、今年5月の下院予算委員会で、国内総生産(GDP)成長率は、ことし下半期にはプラスに転じるものの、本格的な雇用増にはつながらないとの見方を示していました。
米経済の70%を占めるのが個人消費支出。5月から7月にかけ、3カ月連続で前月比増となったものの、「多くのエコノミストは、高失業率が続き、賃金上昇が凍結状態にある限り、個人支出は低迷から抜け出せないと見ている」(ニューヨーク・タイムズ紙8月28日電子版)と厳しい評価です。
格差が広がる 景気回復が遅れているもと、多くの中小企業は金融機関からの資金借り入れがいっそう困難になり、一部優良企業との格差が広がっているとの指摘(8月29~30日、ウォール・ストリート・ジャーナル)もあります。
国民の期待にこたえた諸改革を実行するうえで、政権浮揚のカギとなる景気の底上げ、とりわけ雇用の改善が焦眉(しょうび)の課題となります。
(ワシントン=西村央) (おわり)
しんぶん赤旗