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豪政権悩ます難民船 政策転換後、次々と(1/2ページ)

2009年4月28日3時19分

写真:オーストラリア北西部沖で16日、爆発事件が起きた難民船から豪州軍に救出される負傷者ら=ロイター
オーストラリア北西部沖で16日、爆発事件が起きた難民船から豪州軍に救出される負傷者ら=ロイター

 【シンガポール=塚本和人】アジアや中東の紛争地などを逃れてきた難民を乗せた船が、オーストラリア海域に相次いで押し寄せている。労働党のラッド政権が昨夏、保守系の前政権の厳しい難民政策を転換して以降、続々と来航しており、野党側が責任を追及するなど政治問題化しつつある。

 難民問題が一気に焦点化したのは、今月16日に西オーストラリア州沖で起きた難民船爆発事件がきっかけだった。

 豪警察当局などによると、アフガニスタンからの難民とみられる47人が乗った船を豪海軍が発見。収容施設のある豪州領クリスマス島まで引航する途中で突然、爆発し5人が死亡、多数が負傷した。爆発の原因は捜査中だが、難民船の来航が相次いでいる事実が広く報じられる結果に。

 22日にはスリランカ人32人を乗せた別の難民船が見つかり、25日にも54人を乗せた難民船が拿捕(だほ)された。

 難民船は今年1月以降だけで計8隻が豪海域内に入るなど急増。ラッド政権が難民政策を緩和した昨年9月以降、計15隻の難民船が見つかり、この8カ月間に豪州上陸を目指したボートピープルは500人余にのぼるとされる。

 難民は治安悪化の著しいイラクやアフガン、内戦が続くスリランカなどから逃げてきた人々が多い。難民船の「出港地」であるインドネシアの島々を取材した地元テレビは、アジアや中東から大勢の難民が集まり、大半が密航あっせん業者に大金を払って不法入国の機会をうかがっている、と報じた。世界的な金融危機で貧困層が新天地を目指すケースもあるという。

 ハワード前政権は、ボートピープルを近隣国のナウルやパプアニューギニアに設置した収容所に送り、難民認定審査を行うなどの厳しい政策をとっていた。だが、ラッド首相は選挙戦で他国に置いていた収容所の閉鎖を公約。昨年2月に、公約を実現した。その後、難民申請者を他国の収容所に隔離する政策も廃止を決めた。

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