|
 |
(895)人工膝関節 歩く喜び取り戻す |
|
北國新聞(朝刊)2009年09月08日付 |
 |
人工膝関節の説明をする下崎院長=白山市専福寺町の下崎整形外科医院 |
変形性膝(ひざ)関節症による痛みがひどくなると、手術による治療を考えなければならない。ひざの痛みが消え、歩く喜びを再び実感できるようになるのが、人工膝関節置換術だ。
かほく市に住む60代の女性は激しいひざの痛みでゆっくり少しずつ歩くのがやっとだった。これでは、大好きな旅行に出掛けることもできない。女性はわらにもすがる思いで、下崎整形外科医院(白山市専福寺町)を訪れた。
下崎英二院長がレントゲン写真を使って診察すると、ひざの軟骨がすり減り、ほとんどなくなっていることが分かった。そこで、下崎院長が勧めたのが人工関節をひざに入れる手術だった。
手術は大腿(だいたい)骨と脛(けい)骨の関節部分にモリブデンなどの合金でできた人工関節を埋め込む。二つの骨の接合部分には軟骨の役割を果たす高密度樹脂のクッションを入れる。
●耐久性も向上
「人工関節はすり減っていかないの」と心配する人がいるが、下崎院長によると「以前は摩耗の早いものもあったが、耐久性が向上し、普通に使っていれば20年は持ちます」とのこと。人工関節と骨の接合部は骨セメントでしっかりと固定されるため関節を動かしても痛みはないという。
最近は、モニターで骨や手術器具の位置を確認できる手術支援用のナビゲーションシステムを使い、外見では判断しづらいずれなどをミリ単位で調節できるようになった。下崎院長もこの方法を使い、先の女性の手術を行った。
術後、女性の足はすっかりよくなり、海外旅行にも出掛けられるようになった。ペルーでは高地にあるインカの遺跡マチュ・ピチュを訪れ、多くの階段を上って世界遺産の魅力を満喫した。帰国後、下崎院長のもとを訪れた女性は旅の写真を見せながら、快調に歩くことができる幸せを存分に語って聞かせてくれたという。
●「最後の砦」
それでも、下崎院長はこう説明する。「どれだけ関節が傷んでいても人工関節を入れればよくなるので、慌てる必要はありません。ほかの治療法の効果がないようなら、いつでも安心して利用できます」。人工膝関節置換術は、ひざの痛い患者にとっていわば「最後の砦(とりで)」なのである。 |
|