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りぽーとFUKUOKA

同和対策 波紋再び

2009年09月14日

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 ■立花町元職員 差別自演事件

 立花町の元嘱託職員の男(52)が、同和地区出身者を中傷するはがきを自分あてに送ったとして偽計業務妨害容疑で逮捕・起訴された事件は、行政などの人権啓発活動にも波紋を広げている。啓発活動のあるべき姿とは――。(小林豪)

 ●「従来型」に反発の声
 男の元に「差別はがき」が届いて以降、町や県はこの問題を重視、積極的に人権啓発活動に取り組んできた。男も部落解放同盟福岡県連とともに、講演や執筆活動などを通じて運動を展開してきた。

 同県連は逮捕後の今年7月下旬の定期大会で、男の行為を「祖先を辱め、人間を冒涜(ぼう・とく)する行為」と批判し、組織と運動の再生への決意などを示す声明を出した。今後、有識者に事件の検証や運動について提言してもらうという。

 解放同盟と立場を異にし、差別問題は相当数減ってきたとする県地域人権運動総連合は、(1)同和問題に偏った人権啓発・教育のあり方を改めること(2)同和地区を対象とした特別施策の終結――などを求めた提言書を麻生知事に提出した。

 同和対策事業特別措置法が施行され、国が本格的な同和対策に乗り出したのは69年。以降、同和地区の住環境の整備など、国を挙げての「格差是正」が進められてきた。93年当時、同和地区は全国に4442カ所あり、都道府県別では福岡県が最も多い606カ所を数えた。

 国の対策事業は30年余りに及び、01年度末には役目を終えたとして法律が失効。同和地区は法制上、姿を消した。

 しかし、県が同年度に行った意識調査(重複回答)では「同和地区の人は地区外の人と結婚することが難しい」と感じている県民が37・8%、「安定した仕事に就いていない」「学歴の低い人が多い」と感じたのは、ともに16%を上回った。結婚や就職の際の身元調査を42・6%が「ある程度は必要」と答えたこととあわせ、「差別」がなくなっていないことが示された。

 一方、小中学校で行っている同和教育は「特にやる必要はない」「やらない方がいい」との回答が計20%を超え、「積極的にやるべきだ」(14・7%)を上回った。「知らなかった子どもが意識し、かえって差別につながる」というのが主な理由だ。

 福岡県人権研究所の森山沾一理事長(県立大教授)は、こうした「寝た子は起こすな論」を危惧(き・ぐ)する。立花町の調査(05年)では、同和対策事業をめぐり37%の町民が「同和地区ばかり良くなるのは不公平」と回答。森山理事長は「同和事業がインフラ整備に偏り、同和教育や人権啓発が不十分だったことが、『ねたみ』を生む結果となった」と指摘する。

 県の調査では、同和教育に関し「現在の進め方には問題がある」との回答も1割あった。「不十分・中途半端なため、認識不足のまま終わる」「差別が起こった理由や同和地区の成り立ちをもっと正しく教えるべきだ」といった意見だ。

 同和教育に詳しい林力・九大非常勤講師は「『寝た子を起こすな』は昔から言われていることだが、同和教育は日本の人権教育の出発点。教師の知識や熱意が不十分で指導に問題がある場合もあるが、人権教育として部落差別は直視していかなければならない」と話している。

                ◇             ◇

 ― 立花町差別はがき事件 ―
 立花町の元嘱託職員の男(52)の自宅や職場などに、同和地区出身者を中傷するはがきなどが届いた事件。「役場を辞めて下さい」などと書かれた郵便物は03年12月から今年1月まで計44通に上った。県警は当初、脅迫事件として捜査していたが、今年7月、事件は自作自演だとして男を偽計業務妨害容疑で逮捕。男は同月末に懲戒免職となった。男は調べに対し、「すべて自分が書いた」「差別の被害者になれば雇用契約が解除されにくくなると思った」などと供述したという。

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