日本ロレアル、自社開発のアンモニア臭測定装置がヘアカラー開発の官能評価試験の代替法として有用

　日本ロレアルは、自社開発の「リアルタイムアンモニア測定装置」によるアンモニア蒸散量の測定結果をヒトによる官能評価試験の結果と比較し、高い相関性を得たことを確認した。これによって、この測定装置がヘアカラー開発におけるアンモニア官能評価試験の代替法として、有用であることが示唆された。この成果は、「日本味と匂学会第43回大会」で9月2日に発表した。

　今から約100年前、ヘアカラーはロレアルの創業者である化学者、ウージェンヌ・シュエレール氏によって開発・商品化された。この酸化染料と呼ばれる染料を使うヘアカラー手法は、今も全世界のヘアサロンや家庭で最も広く使用されている手法だが、染料の化学反応の促進のためにアルカリ剤を必要としているという。アルカリ剤として最も広く用いられる薬剤は今も昔も変わらずアンモニアだが、アンモニアは臭気が強く、高濃度では嗅覚に刺激を伴うという。

　そこで現在では、アンモニア臭を低減・除去した低臭・無臭のヘアカラー剤が望まれている。これらによってヘアカラーを使うことへの消費者の心理的抵抗は下がり、使用場所や使用頻度など消費者の使用習慣にさえ変化を及ぼすことが考えられるが、その開発においては「アンモニア濃度計」を利用するか、評価者が実際に臭いを嗅いで行う「官能評価試験」によって、施術中のアンモニア量を評価する手法が主流だった。しかし、アンモニア濃度計は濃度の早い変化に応答できないこと、官能評価試験は評価者の苦痛や基剤臭によって評価が妨害されること、などの欠点があったという。

　そこでロレアルは化学発光法と呼ばれる手法に着目し、リアルタイムでアンモニア臭の変化を測定できるシステムの開発に従事してきた。アンモニアは触媒とオゾンによって二酸化窒素になるが、その過程で光を放出するという。この光をアンモニア蒸散量の指標とするのが、化学発光法とのこと。このシステムによって、混合作業中、塗布作業中など、刻々と変化するアンモニアの蒸散量をリアルタイムで測定可能であることがわかった。さらに今回、このシステムによる測定値と、評価者が行う従来の官能評価試験のスコアとの間に、極めて高い相関性が見られることを見出したという。

　この、機器を用いた測定システムによって得られた値が、ヒトによる官能評価によるスコアと相関していることは、同方法がヘアカラー開発における従来のアンモニア官能評価試験の代替法として有用であることを強く示唆していると指摘する。これによって、迅速かつ詳細なアンモニア臭評価が可能になったとのこと。ロレアルでは、この知見の詳細を、9月2日から旭川市で開催される「日本味と匂学会第43回大会」で発表した。また、同技術の応用によって作られた、臭いの少ない新しい処方のヘアカラーは、「ロレアル プロフェッショナル」ブランドから、美容室専用ヘアカラー「アルーリア」として9月16日から上市される。

日本ロレアル＝http://www.nihon-loreal.co.jp/

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