最終更新: 2009/09/15 13:25

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新型インフルエンザ 医療現場に意外な余波 輸血用の血液が不足するおそれ

感染拡大に歯止めがかからない新型インフルエンザで、医療現場が意外な余波を受けている。
流行が本格化するこの冬に向け、輸血用の血液が不足するおそれが出ている。
東北大学大学院医学系研究科の押谷 仁教授は「大規模な感染拡大が確実に起こります」と話した。
14日、東京都内で新型インフルエンザに関する緊急討論会が開かれた。
国内での1週間の感染者が15万人を超え、迫り来る流行のピークを前に危機感が漂う中、感染拡大は思わぬところに影響を及ぼそうとしている。
信州大学医学部付属病院輸血部は、病院内の手術や透析などに欠かせない輸血を一括管理し、送り出している。
輸血部の責任医師を務める下平滋隆准教授は、新型インフルエンザの大流行を前に、ある懸念を抱く。
5月、国内初の感染者が確認された兵庫県。
実はこのとき、感染者の急増とともに、外出を避ける人々も増加した。
その影響からか、兵庫県赤十字血液センターは、輸血を支える献血の量が予定の6割程度しか確保できなかったという。
こうした事態に日本赤十字社は、緊急性の低い手術の延期や献血への協力を呼びかけているが、一方で、ある試算も発表された。
今後、秋、冬と本格的な流行期に入り、献血の量が20%減少する事態が3カ月間続いた場合、輸血用の血液の在庫は感染が広まってから4週目には、必要な量の半分以下に落ち込み、5週目にはゼロになるという。
高度救命救急センターを備え、頻繁にかかってくる輸血の依頼に、24時間体制で対応している輸血部は、今のところ血液不足という状況に陥ってはいないという。
しかし、下平准教授は「特に期限の短い血小板の供給が本当に十分かっていうことは、心配されますね」と語った。
この日、輸血部に多く求められていたのは、大手術の止血、骨髄移植や抗がん剤治療などに使用される血小板だった。
実はこの血小板は、ほかの血液製剤とは異なり、使用期限が採血後わずか4日間と日持ちが悪く、供給量も少ないため、最大の懸念材料となっている。
世界中に広がる新型インフルエンザでは、血液の確保は世界共通の課題で、EU(欧州連合)諸国や東南アジアの一部では、血小板の使用期限を4日間から7日間に延ばす不活化技術を導入して不足に備えている。
これまで日本では、安全性の担保やコストから見送られてきたが、政権交代をした民主党の政策集には、この技術の導入が記されている。
東京大学医科学研究所の上 昌広特任准教授は「安全性に関しては、今後の検証が必要です。日本の場合は、このリスクとこの新しい技術のベネフィット(利益)をてんびんにかけながら、慎重に導入していく必要があると考えています」と話した。
待ったなしで迫る大流行。
新型インフルエンザによる2次被害は、絶対に防がなければならない。

(09/15 00:16)


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