現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. ビジネス・経済
  4. 産業・経済
  5. 記事

自動車生産、雇用なき回復 リーマン破綻から1年

2009年9月15日2時0分

図:  拡大  

写真:採用が再開された期間従業員が働く三菱自動車名古屋製作所の生産ライン=14日、愛知県岡崎市、古沢孝樹撮影採用が再開された期間従業員が働く三菱自動車名古屋製作所の生産ライン=14日、愛知県岡崎市、古沢孝樹撮影

 愛知県岡崎市にある三菱自動車名古屋製作所。ベルトコンベヤー上を小型車「コルト」などがゆっくり流れ、2分に1台が完成する。今年2月以来、昼間だけだった生産が、14日から7カ月ぶりに昼夜2交代に戻った。大山安夫所長は「ようやく工場に元気が出てくる」と話した。

 昨年9月15日に米大手証券リーマン・ブラザーズが破綻(はたん)。世界経済を一気に冷え込ませ、日本の自動車産業も激しい不況に襲われた。

 この工場では、昨年9月は1日に600台強の車をつくっていた。約900人の正社員に加え、派遣や期間従業員も約千人雇っていた。それが、2月には生産が1日240台に、正社員以外の雇用はゼロになった。

 月内には生産台数は元に戻る。だが、新しく雇ったのは期間従業員350人だけ。「千人雇う計画もあった」(幹部)が、子会社などから応援の正社員を約400人かき集め、しのぐことにした。

 生産を戻したのは、在庫調整が終わり、需要も持ち直したからだ。それも各国の「エコカー支援」のおかげが多く、「政策効果が切れた後の需要は見えない」(自動車メーカー幹部)のが現状。採用には慎重にならざるをえない。

 7月以降、自動車業界が採用再開を決めた期間従業員の人数は、計約2500人。昨秋以降に減らした非正社員3万人超の1割以下だ。

 リーマン・ショックが変えた工場の光景。復活は遠い。(大日向寛文)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内