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怪力朝青、巨体把瑠都吹っ飛ばした

 把瑠都を寄り切った後、土俵下へ突き飛ばす朝青龍
 把瑠都を寄り切った後、土俵下へ突き飛ばす朝青龍

 「大相撲秋場所・初日」(13日、両国国技館)

 4場所ぶりの優勝を狙う横綱朝青龍が小結把瑠都を寄り切って白星スタートを切った。巨漢の相手をつって攻め、土俵下5メートル先まで吹き飛ばす“とどめの一撃”も披露。負傷を抱える左ひじや右ひざの不安を一掃する豪快な勝ちっぷりだった。横綱白鵬も小結安美錦を寄り切った。大関陣は千代大海以外は安泰だった。

  ◇  ◇

 異様な光景だった。朝青龍が痛めている左ひじに力を込めると、197センチ、184キロの相手の巨体が浮いた。残す相手をもう一度つり上げると、なんとか残そうとする把瑠都の両足が空を切る。つり出し切れないとみるや、土俵際で差した左腕を返して、把瑠都を土俵下まで吹き飛ばした。

 フラッシュをたく無数のカメラを飛び越えて、日本相撲協会のビデオカメラマンを巻き込んだ把瑠都は、土俵から約5メートル先の通路まで転がった。ビデオカメラはバッテリーが破損。周囲を巻き込み、相手を粉砕する、なんとも朝青龍らしい荒々しい取り口だった。

 支度部屋に帰っても、荒ぶる魂は収まらない。「気合が入っていたのか?」「当たりが良かったのか?」「つりは狙っていたのか?」。報道陣からの質問に少し表情を変えるだけで、口を開かなかった。ただ一言「立ち合いは良かったね」とだけ発して、だんまりを決め込んだ。

 豪快な相撲に、お忍びで観戦していたプロボクサー亀田3兄弟の三男・和毅も興奮。「今日の相撲は万全やったな。けがしてるとは思われへん相撲やな。このまま15日間いってほしい」と絶賛した。白鵬ファンを公言している和毅を朝青龍党に“くら替え”させてしまった。

 場所前は、けいこ不足を指摘され続けたが、ふたを開ければこの強さ。横綱審議委員会の澤村田之助委員は「朝青龍は調子がいいとはいえないですが、周りがもうひとつ。寂しかった。把瑠都に期待していたのですが…」と苦々しく振り返った。不調であっても主役を奪う朝青龍をだれが止めるのだろうか。

(2009年9月13日)
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