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理研主任研究員、出張費二重取り 業者に払わせ更に請求

2009年9月11日15時1分

図:出張費二重取りの仕組み拡大出張費二重取りの仕組み

 独立行政法人「理化学研究所」の架空発注をめぐる背任事件で、逮捕された主任研究員和田達夫容疑者(53)が、出張費を業者側につけ回しするとともに、理研にも出張費を請求して旅費や日当を受け取っていたことが、警視庁への取材でわかった。業者に払わせた出張費は2千数百万円にのぼるといい、同庁は、理研からもこれに相当する額を受け取っていた疑いがあるとみて調べている。

 捜査2課によると、和田容疑者は99年から07年にかけ、自らの飲食や旅行の代金などを研究機器販売会社社長の嘉藤悦男容疑者(76)につけ回ししていた。つけ回しの総額は約5500万円にのぼった。このうち旅行代金が約3300万円で、この中には学会への出席など出張費用2千数百万円が含まれるという。

 同課によると、和田容疑者は出張の際、旅行会社を通じて航空券や高級ホテルなどを手配。07年末ごろまでは、その料金を嘉藤容疑者から旅行会社に支払わせたうえ、理研にも出張旅費として申請していたという。

 理研によると、和田容疑者の出張は確認された03年4月〜今年7月に国内87件、海外27件。理研は旅費と日当として約2050万円を支払ったという。このうち嘉藤容疑者へのつけ回しが行われていた時期に重なる07年末までの約5年間は約1500万円にのぼる。

 理研では、別の主任研究員が海外出張した際、招待先の研究機関などから出張費を受け取りながら、理研からも443万円を二重取りしていたことが04年に発覚。理研は、出張報告書に他機関から出張費が支給されていないかどうかを記載させるなどの再発防止策を取っている。警視庁は、これ以降も和田容疑者が不正請求を続けていたとみている。

 理研の前川治彦総務部長は「和田容疑者が二重取りしていたかどうかは調査する。事実であれば、新たな再発防止策をとる必要がある」と話している。

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