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架空発注、個数・金額も指示 背任容疑の理研研究員

2009年9月9日17時36分

 独立行政法人「理化学研究所」の架空発注をめぐる背任事件で、逮捕された主任研究員和田達夫容疑者(53)が、業者側に発注内容を具体的に指示して架空の請求書などを作成させ、不正を繰り返していたことが警視庁への取材でわかった。

 捜査2課によると、和田容疑者は99年8月ごろ、研究機器販売会社社長嘉藤悦男容疑者(76)からの持ちかけでつけ回しを始めた。国内外の旅行代金やタクシー代、飲食費、家電の領収書などを嘉藤容疑者に渡し、和田容疑者の口座に現金を振り込ませるなどしたという。

 和田容疑者は03年10月ごろ、それまでのつけ回し額が約700万円にのぼることを嘉藤容疑者から知らされ、穴埋めのため架空取引を始めた。100万円未満の消耗品なら、発注から納品の確認まで自らの権限でできる理研の内規を悪用。嘉藤容疑者に品物や個数、金額を具体的に指定し「架空でやるので資料を出してほしい」と依頼。作成させた偽の見積書や請求書、納品書を理研の経理部門に回していた。08年5月までに計約3900万円の架空発注を繰り返したという。

 つけ回しは07年末まで続き、計約5500万円にのぼった。嘉藤容疑者は調べに、「正規の受注に思ったほどの成果がないのでやめた」と供述しているという。

 理研の野依良治理事長は「研究所始まって以来の不祥事で、国民の皆様、関係者におわび申し上げます。国民の信頼を揺るがす重大な問題です」との談話を出した。理研は外部有識者も入れた調査委員会を設置。ほかにも不正がないか調べるという。

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