2009年9月8日16時11分
文部科学省所管の独立行政法人「理化学研究所」(埼玉県和光市)で研究用物品を架空発注し、約1100万円の損害を与えたとして、警視庁は8日、同研究所主任研究員和田達夫容疑者(53)=同県志木市=を背任容疑で逮捕し、発表した。精密機器会社「秋葉産業」(東京都豊島区)の代表取締役嘉藤悦男容疑者(76)=茨城県つくばみらい市=も同容疑で逮捕した。
理研は世界的水準を誇る研究機関で、ノーベル化学賞受賞者の野依良治氏が理事長を務めている。
捜査2課によると、両容疑者は共謀し、和田容疑者の研究室で使う物品を架空発注し、04年11月から08年5月の間に21回にわたって購入代金約1100万円を同社の預金口座に振り込ませ、理研に損害を与えた疑いがある。架空の発注は、事務部門を通さず、発注から納品の確認まで主任研究員が処理できる100万円未満の消耗品に限られていた。
同課は、両容疑者とも容疑を認めているとしている。
同課によると、和田容疑者は99年夏ごろ以降、嘉藤容疑者に飲食や旅行の代金のつけ回しをし、07年までに計約5500万円を払わせた。この支出を埋める方法として03年10月ごろ和田容疑者が嘉藤容疑者に架空取引を持ちかけたという。同課は架空発注額は逮捕容疑を含め今年8月までに約3900万円にのぼるとしている。
理研は研究者約1900人を含む約3千人の常勤職員がおり、年間約1千億円の予算を持つ。和田容疑者は東大大学院を修了。IC乗車券「Suica」などに利用される技術を研究している。