特定商取引・割賦販売法の改正について
平田議員は、4月27日、参議院経産委員会で特定商取引・割賦販売法の改正に対する質疑を行いました。
悪質商法は近年益々、悪質・巧妙化しており、高齢者や学生を始め多数の被害者が出ています。悪質商法には、ヤミ金とか詐欺に近いものまでありますが、特定商取引法とは、訪問販売、通信販売、マルチ商法等6つの取引形態について規制する法律です。全国に490箇所ある消費生活センターへの特定商取引にかかわる相談件数は、約57万件、警察による検挙も年間300件です。特に、近年増加傾向にあるこれらの問題に対して、規制を強化し消費者保護の一層の推進を図るための改正です。
悪質商法等の被害者の相談は生活センターや警察が受けるものの、その執行体制は各省庁バラバラです。消費者保護に係る法律は130を超えており、被害者をその法律の所管省庁毎に別け、個別に対応しているのが現状であり、縦割り行政の弊害が云われています。
消費者行政は近年益々重要になっており、悪質商法を含め消費者保護に適切に対応するためには、省庁毎の消費者政策を内閣府に一元化し、企画立案、執行体制等の一層の強化を図る必要があるとの観点から、経産省、警察庁、内閣府を質しました。
詳細は以下の通りです。
○平田健二君 今の広野委員の質問に続いて質問をさせていただきます。
悪質なマルチと良質なマルチというのはどういうふうに違うのか、ちょっと教えていただきたいんです。
○国務大臣(中川昭一君) マルチというのは連鎖取引ということとまず同義語だという前提で、先ほど坂本副大臣からも御答弁申し上げましたように、本来、お互いが合意をして商取引をするということは、日本あるいはまた自由主義経済においては大原則だろうと思います。
ただ、それが対等な立場であるかとか、あるいは片方が悪意を持ったプロであり、相手方、つまりそれに参加する勧誘を受けた人がアマチュアであり、あるいはまたもっと言えばお年寄りであったり学生であったりというような、力関係においても対等ではないというようなことがあって、しかもそこには、いわゆるマルチ業者の方が正しい情報を伝えないとか、あるいは何時間も無理やり勧誘をするとか、そういうことによって、どう見ても常識的ではない、健全ではない、いわゆる広い意味のビジネス取引が成立した結果、後になって過大な負担を負ったりいろいろな損害を被るということがいわゆる私は悪意の商取引、いわゆるマルチも含めた、そういうものだろうと思います。
現実には、じゃ何が悪意で何が善意かということでありますけれども、例の消費者センター等にトラブルが本当に毎年毎年一杯来ておりますし、また我々のところにも寄せられているわけでございまして、それをどうしても、仮に悪意のマルチ業者であれば法律の抜け道を次から次へと考えてやっていくと。点検商法とか、最近もいろんな何か新しい商法があってトラブルがあるということでございますから、そういう意味で、あえて悪意のマルチ業者というものはそういう前提で、善良なといいましょうか、ある意味では知識の少ない相手方、民間、素人の人たちに対してそういう形で不公正あるいはまた不正な商取引をやるんだろうと思います。
答弁書にございませんので、これは私の大臣としての御質問に対する答弁でございます。
○平田健二君 確かに質問通告はしておりませんでしたけれども、私は、お互いにプロ同士のそういう契約ならば、これはある部分では仕方がないだろうと。やっぱり悪質という、そのものの定義というのはよく分かりませんけれども、消費者に対して、マルチ商法ですか、これ働き掛けるというのはこれ既にもう悪質だと。プロ同士の取引ならばまあそれはいいだろうと、ある部分では。しかし、全くの消費者に対して、学生さんに対して、主婦に対して、普通のサラリーマンに対して、全く自分のやっている本職以外のことで働き掛けをする、こういったものは私はやっぱり禁止すべきだと、最初から、こういうふうに思っております。
是非ひとつ、広野先生がおっしゃった、まず禁止すべきだというのが私は正しいんじゃないかと、消費者に対してですよ、消費者に対して働き掛け、勧誘をすることについてはやっぱり間違っておるというふうに思います。是非ひとつ次の法改正で検討していただけたらというふうにも思っております。
さて、本題に移りたいと思いますが、本題というよりも通告をしてある分ですけれども、今回も法律改正が提案をされました。私、記憶しておるのでは、毎年とは言いませんが、ほぼここ近年、毎年この法律を改正をしておるというふうに思っております。しかし、報告にもありますように、全国の消費生活センターには相談件数八十七万ですか、あわせて被害、その特定取引についての苦情が五十七万件、およそ六割だという報告されておりますけれども、今回この法律を改正することによって、じゃこの特定商取引の苦情件数が減っていくだとか、そういったものが改善されるというふうに思っているんでしょうか。大臣にひとつここらについてお答えいただきたいと思います。
○大臣政務官(江田康幸君) 先生御指摘のとおり、特定商取引法におきましては、平成十一年、十二年、十四年と、過去五年間で三度の改正を行いまして、エステティックサロンとか語学教室、内職・モニター商法、迷惑メール、そういうことに関する行政規制の追加、強化を進めてきたところでございます。
これについては、消費者トラブルの状況改善にも効果が見られてきているんですが、御指摘のように、苦情相談はなくならず、悪質なトラブルがございます。虚偽の説明とか、重要事項をわざと言わない不当な勧誘、さらには商品等の効能効果に関する虚偽、誇大な広告、勧誘に関するもの、こういうものがございます。個別に見ても点検商法やマルチ商法等がございますが、このような現状を踏まえまして、今回の改正案では、点検商法等防止のため、行政規制の強化を行うとともに民事ルールの充実を図ることとしております。具体的には、不当勧誘行為による契約を消費者が取り消せるようにすること、またマルチ組織から退会する際に在庫商品を返品できるルールの新設等でございます。
これらによりまして、実際に被害に遭った個々の消費者が自ら被害の回復を求める道が容易になるとともに、この行政規制と相まって、悪質商法がビジネスとして成り立たないようにするためにも大きな効果があると考えておりますので、こういう苦情等においても少なくなってくることを期待するものでございます。
○平田健二君 報告を見ますと、被害に遭っている方の年齢別、そういったのを見てみますと、六十歳以上の高齢者、それから二十歳以下の若年層からの苦情が増えていると、こういう報告があるわけですけれども、こういった高齢者、若年層に集中しておるといいますか、比較的被害が出ているということは、何か特徴的なことがあるんでしょうか、従来と違って。
○政府参考人(青木宏道君) 今、平田委員から若年層及び高齢者についての比率がございました。
御案内のとおり、まず若年層につきましては、特に比率が増えているわけではございませんけれども、しかしながら、この数年見ておりましても、二十代以下のところが非常に、三割という、非常に高水準で推移をしているというのがポイントの一つだろうと思います。
さらに、高齢者、まあ高齢者をどこから高齢者と言うのか、なかなか難しゅうございます。一応、国民生活センターの区分でいいますと六十歳以上ということになっておりますけれども、ここのところが非常に増加をしているということでございます。
恐らくこれは、一つは日本全体の高齢化というところがございますし、それから、高齢化をする中にあっても、しかも核家族化をしているということで非常に、お年寄りだけが住んでいる、そういうところに、例えば点検商法といったような新手な商法を編み出して虚偽の説明をする、あるいは重要なことをわざと言わないといったような悪質な商法がまた蔓延をしていると、こういうことではないかと思っております。
○平田健二君 警察庁、お見えですよね、はい。一問だけですので、先に質問させていただきます。
いわゆる特定商法ではないんですけれども、やみ金問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
最近も、大変大きい、大掛かりなやみ金ですか、金融業者が摘発をされたという報道がされております。
特に最近、多重債務者に対して、これ、どこからそういう情報を取ったか分かりませんが、ダイレクトメールを送り付けて、あなたの多重債務、幾つものサラ金から金借りているのを取りまとめて私のところが融資しますよ、ついては一度連絡くれと、こういうダイレクトメールが行くと。連絡をすると、分かった、まず手数料振り込めと。で、手数料取る。手数料取って、次また連絡をすると、いや、あなたはどことどことどこに多重債務をしておるのだ、それを調査するのにまた手数料が掛かるから、はい、手数料振り込めと。そういったことで、しかも悪質なのは、実は今日は金曜日だった、金曜日だからすぐ振り込みができない、だから来週月曜日になると。月曜日になるから、実はお金を確保しておかなきゃいかぬのだと、あんたに振り込む分だけ、融資する分を。だから、それを融資する、確保するのにまた更に手数料が掛かるから、幾ら幾ら今日じゅうに金を振り込めと。で、月曜日になったら、いや、どうだこうだと言って結局は融資しない、そういう被害が出ている。そういったやみ金にかかわる被害が、最近、特に地方にダイレクトメールを送り付けるもんですから、北海道だとか九州だとか、そちらの方が比較的被害が多くなってきていると、そういう状況になっていると聞いています。警察庁としてこういった事案に対してどのように取り組んでいるのか、またどのような対策といいますか、各消費者生活センターとの連携だとか、そういったものについて教えていただきたい。
あわせて、そういう被害に遭った方々は結局家族には隠している、自分一人で悶々としながらやるもんですから余計どこに相談に行っていいのか全く分からない、変なところに行けば家族にばれるからと、こういったこともあるようでして、是非そこらを、全国でこういうところに相談に行けばある程度秘密を守って相談に乗ってくれるよというのがあれば、是非また教えていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょう。
○政府参考人(伊藤哲朗君) お答えいたします。
国民の方がこういった問題について警察へ相談されようとする際に、警察のどこに相談したらよいのか分からないということのないように、各警察におきましては、各種の警察相談に適切に対応するために、まず各都道府県警察本部にそれらを一次的に受け付ける警察総合相談室というものを設置しておりまして、この対応に当たっております。また、本部だけではなくて、各警察署におきましても、同様の趣旨で警察安全相談窓口を設置してそれぞれの相談に当たっているところであります。
こうした相談というのは大変多くなっておりまして、平成十五年中における取扱件数は、現在まだ集計中ではございますけれども、概数で申し上げますと、全国総数で約百五十万件を超えております。そのうち、特定商取引ややみ金融を含む金融関係取引に関する相談は約二十六万件に上っていると......
○平田健二君 二十六万件ですか。
○政府参考人(伊藤哲朗君) はい、状況でございます。
こうした相談につきまして、いろいろと事件性のあるもの、もちろんないものとたくさんあるわけでございますけれども、事件性が認められるものにつきましては、やみ金融事犯や特定商取引法違反等の悪質商法事犯であれば生活安全部門が、そしてまた詐欺等に当たるような、刑法に当たる場合につきましては刑事部門がその後の捜査に当たっているという状況でございます。
今後とも、警察への相談につきましては、警察としましても相談者、被害者の意向を十分に踏まえながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○平田健二君 どうもありがとうございました。
時間がありましょうから、どうぞお引き取りになって結構でございます。ありがとうございました。
次に、この特定取引の取締り状況について、今、若干やみ金の問題についてはお聞きしましたけれども、お尋ねをしたいと思います。
これは経済産業省で結構ですが、まずセンターへの相談は八十七万件とここでは書いておりますけれども、被害の件数、相談じゃなくて被害の件数、実際に被害に遭った件数が分かれば教えていただきたい。また、今ちょっとお話がありましたように、警察による検挙数、訴訟の件数、あるいはセンターによるあっせん、それから調停等の数が分かれば教えていただきたいというふうに思います。
やっぱり相談は来るけれども、実態はどうなっておるんだと。相談が八十七万件、そのうち六割が特定商取引ですから、その六割の約六十万件ですか、六十万件に近いのの中から、実際に被害に遭って、警察が検挙したり、あるいは生活センターがあっせんしたり調停したりした件数が分かれば教えていただきたいと思います。
○政府参考人(青木宏道君) 平田委員より四点御質問がございました。
まず一点目の特定商取引に係る具体的な被害の状況でございますが、これは残念ながら、結論から申し上げますと、しっかりした数字がございません。
御案内のとおり、各地の消費生活センター、これは四百九十か所ございますけれども、こうした各地の苦情相談が国民生活センターのPIO―NETというものに登録をされてございます。この中身を見ますと、消費生活センターの相談員などのアドバイスによりまして被害にそもそも至らなかったもの、そういうものも入ってございますし、あるいは被害がいったんあったとしても被害がすぐに回復をされてしまっているといったような、個々の事案の進行の程度が個別案件によって相当違うという事情もございます。また、相談員の助言を受けた消費者からも結果の報告が実はないといったようなこともございまして、必ずしも明確になっていないというのが現状でございます。
ただ、この情報は、先ほども申し上げましたように、最近やはり若者についてのアポイントメントセールスが非常に相談が多いとか、あるいは御老人について、高齢者についての点検商法についてのものが多いといったような、いわゆる消費者被害の傾向、動向を把握するということでは大変重要でございまして、私ども、今回の法改正、見直しに当たって貴重な参考資料とさせていただいたところでございます。
二点目の検挙の御質問でございますけれども、警察庁によりますと、最近の五年間、平成十一年から十五年でございますけれども、特定商取法違反事案といたしまして、事件数では約年間百件でございます。それから、検挙人員でございますが、これは多少年によって凸凹はございますけれども、二百人から約三百人、単純平均をいたしますと平均二百七十一人という検挙人員数でございます。
それから、民事訴訟につきましては、これは最高裁の事務局によりましても、残念ながら、例えば特定商取法に基づく民事訴訟といった、いわゆる根拠、請求の根拠となるような法律ごとの区分はしていないというのが実情でございます。
最後に、調停、あっせんでございますけれども、先ほど特定商取引法についての平成十四年度の苦情相談件数、五十七万件でございまして、この中には、ほんの照会から、いわゆる苦情、あるいは解決を求めてくると、区々でございますけれども、そうした中で消費生活センター等におきまして実際に解決に向けたあっせんを行ったというのは約四万八千件と承知しておりまして、全体の五十七万件で単純に割りますと約八%と推定できるというふうに承知をしております。
○平田健二君 結局、消費者センター等に相談をしてもなかなか、今お話がありましたように、四万八千件あっせんをする、実際に被害の状況はなかなかよく分からないと、こういう実態ですね。
やはりそれは、相談をした人がもう自分で解決したというケースも相当数あるでしょうけれども、やっぱりある程度絞り込んで追跡調査をするとか、そういったことをやれば傾向値はつかめるんだと思いますね。ですから、是非一度そういったことも検討をしていただけたらというふうに思っていますけれどもね。相談があれば、もちろんプライバシーの問題もありましょうけれども、やっぱり特徴的なものは追跡調査をしてどうだったかということは、やっぱり実態をある程度把握するということも必要ではないかなというふうに思っていますんで、是非ひとつ御検討をいただきたいというふうに思っております。
それで次に、苦情相談が生活センター、消費生活センターにあるわけですけれども、経済産業省との連携体制はどのようになっているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○政府参考人(青木宏道君) 地方の消費生活センター、全国で現在約四百九十か所ございます。トラブルに遭われました消費者の方々にとっては最も身近な相談窓口でございまして、私ども、その重要な機能ということは大変認識をしているところでございます。
経済産業省といたしましては、この消費生活センターの言わば取りまとめに当たります内閣府と協力しながら、消費生活センターの連携を強化し、またその活動支援をするための諸活動をやっているところでございます。
まず具体的には、私ども、本省あるいは各地方通産局の職員に対して研修の機会というのをやっておりますが、その際、あわせて、地方自治体の執行部、法執行部の職員、あるいは消費生活センターの相談員の方々、こういう方にも一緒に参加をしていただくといったようなことがございます。
例えば、平成十三年から十五年の三か年で約三百名弱の研修を受けている者がございます。約半分は地方公共団体の職員あるいは消費生活センターの職員でございます。また、現実に消費生活センターの相談員の方々が消費者との御相談に当たりますときには、やはり細かい法律の解釈ですとか運用について非常に疑義が生ずるといったようなことがございます。その都度私どもの方に情報交換、意見交換をしているところでございます。こうしたものも年間千件以上照会があるところでございます。
また、当然のことでございますけれども、私ども、消費者行政の普及啓発に非常に力を入れているところでございますけれども、消費生活センターで活用していただきますよう、広報の素材あるいはパンフレットの提供、こういったものも提供しているところでございます。
また、先ほど来御答弁申し上げておりますように、消費生活センターが受け付けた苦情の内容といいますのはトラブルの傾向を示す非常な重要な参考資料でございまして、国民生活センターの協力を得て、そのデータの動向の分析、収集、そういったような点についても大変御協力を仰いでいるということでございます。
○平田健二君 十六年度に専門知識を有する職員として十名程度要求をされて執行体制に当たるということですけれども、十五年度の行政処分、いわゆる特定商取引に関する行政処分が二十六件、十三年以降、大体同じような数字で推移しておるんですけれども、処分を下す前提となる調査、なぜこの二十六件、平成十五年度は二十六件処分をしたのかというその理由、調査は一体何件やって二十六件の行政処分になったのか、具体的にどのような業者に対して調査をされたのか、お尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(青木宏道君) まず、私どもが行政処分を実施いたしますときには、当省の本省及び各地方経済産業局に消費者相談室を設けておりますけれども、そうしたところに寄せられます苦情相談ですとか、あるいは先ほど来出ております全国各地の消費生活センター等々に寄せられた情報を国民生活センターを通じて私ども入手をしております。そうしたものの収集、分析によりまして、違反行為の疑いに関する言わば基礎的な調査を行うというのが第一段階でございます。
第二段階といたしましては、消費者から内々いろいろ事情を聴取するといったようなこともございます。その上で、法令違反が疑われる事業者に対しては報告徴収、あるいは必要があれば立入検査を行うといったような必要な調査をやってございます。そうした違反事実の裏付けが固まった段階で、いわゆる弁明の機会の付与といったような所定の行政上の手続を経まして、最終的に行政処分をするという段取りでございます。
調査件数についてお尋ねがございましたが、先ほど申し上げておりますように、いろんなところから極めて多い数が参っておりまして、そうしたものを、苦情相談の分析から始まり、あるいは報告徴収等々、各段階を経ているものですから、一概に具体的な件数を申し上げられるということはなかなか難しゅうございます。
ただ、一つ、例えばということで申し上げます。平成十三年度から十五年度の三年間で経済産業省だけで二十九件行政処分をしておりますけれども、その間、こうしたものを裏付けるために、いわゆる報告徴収あるいは立入検査というものは、その十倍とは言いませんが、約二百二十二件実施をしているところでございます。
また、以上申し上げましたほかに、実は最近インターネットの広告というものについての違反、これが、非常にインターネットが手軽にだれでもできるといったようなものもございまして、私ども、平成十二年の改正でこの点についての法規制の強化をさせていただきました。そうしたものも踏まえまして、最近、広告サイトについて、これをもう常時監視をするという体制を取っておりまして、最近三年間では約四万三千件の調査をいたしまして、その違反のおそれがあるものについて一万三千件の警告を行うといったようなこともやっているところでございます。
○平田健二君 今回の法改正でも、消費者保護といいながら、非常に法律の表現、文言が難しいんですね、なかなか理解できない部分がある。
例えば、公衆の出入りしない個室というのはどういうことを指すのか。ちょっと、私もこれ見て、公衆の出入りしない個室とはどういう場所なのか、あるいは、商品の性能、品質の説明の範囲はここまでということをきちっと具体的にやった方がいいというふうに思っております。やっぱり消費者が参考にできるような分かりやすいものにしていく必要があるというふうに思っております。
是非、今回法改正をしましたけれども、周知徹底の方法はどうやってやるのか、公衆の出入りしない個室というのはこういうことですよとどうやって説明するのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○大臣政務官(江田康幸君) 経済産業省としましては、まず、特にトラブルに遭いやすい大学生などの若年層や高齢者に重点を置いて消費者への情報提供や啓発に積極的に取り組んでいるところでございます。また、普及啓発の際には、先生御指摘のように、できるだけ受け手となる消費者の立場に立って分かりやすいものとなるように努力をしているところでございます。
例えば、若年層につきましては、高等学校の学習指導要領に取り上げていただいておりまして、当省からも全国の約半数、二千五百校でございますが、高校に啓発ビデオを配布したところでございます。また、ビデオには人気タレントとかを起用しまして、若い高校生が関心を持って見るように、そういう工夫もしているところでございます。
成人式でも百万部以上の啓発パンフレットも配布しております。大学におきましては、大学、短大、約千二百校に対してマルチ商法に関する注意喚起の通達を発出させていただいて、パンフレットも配布をさせて、努力しているところでございます。
高齢者向けの普及啓発としましては、地方自治体と連携をしまして敬老会でパンフレットを配布しておりますが、五十二万部ほどのパンフレットを配布したところでございます。その際に、高齢者の方々が読みやすいように、より好まれる落ち着いた色合いにするとか、文字を大きくするという配慮をしているところでございます。
本法案も成立しますれば、分かりやすい広報素材を作成して、様々な方法を活用しながらこの普及啓発に努めていきたい、そのように思っております。
○平田健二君 ここに、これ全国防犯協会連合会が作った「騙しのテクニック」という、気を付けなさいという漫画があるんです、漫画。
これを見ますと、確かにおもしろいんですが、なるほどなとよく分かります。ああ、こう言ってだますんだというのが、だまされるんだというのが書いてあるんです。こういった本は多分相当数作って、部数作って配布されたと思いますが、ここまでいかなくても、もう少し分かりやすいものを是非作っていただきたいなと思っております。
さて、そこで、これは昨日の夕刊です。日本を代表するような新聞、大手新聞です。これにある会社の保険の勧誘といいますか、保険に入りませんかという広告が載っておるんです。これについてお尋ねをいたします。多分初めてだと思いますので。
だれでも入れますと書いてあるんです。字が小さ過ぎて読めませんので眼鏡を掛けますが、これは比較的大きいんですけれども、医者の診査は要りません、これはテレビでやっていますね。ほとんど毎日、何回も何回も放送されているやつです。医者の診査は要りませんと書いてあるんですが、小さな字で、当プランは健康状態や職業などによって御契約をお引き受けできない場合もございます。まあ、そうでしょう。ところが、これ隣にあるんです。有名な女優さんが紹介しておるんですけれどもね、満七十九歳まで入れる保険、これは特徴は、転んだときに骨が折れた、そのときに保障金を払いましょうと、こういうんです。七十九歳まで入れます。しかし小さな字で、満八十歳の誕生日を迎えた後、次年度の契約から上記保険金額はそれまでの保険金額の半額になりますと書いてある。七十九歳まで入れます、しかし満八十歳になったら、ここに書いてある保険金は半額だよと、しかし保険料は変わりませんと、こう書いておる。
これは私はそう問題ではないと思いますが、きちっと書いてありますからね。しかし、この法に書いてあるんですよね、実は。説明により消費者の誤認や過大な期待をねらった商品等については取り締まるとなっておるんです。これはその範疇に入りませんかね。こういうのが堂々とテレビでも新聞でも出ておるわけですよ。これやっぱり少し、誇大広告とは言いませんが、消費者が誤認をする危険性があると。こういったところについてはチェックしておるんでしょうか、お尋ねします。
○政府参考人(青木宏道君) 私、その広告、まだ見ておりませんのであれでございますが、いわゆる特定商取引法はいわゆる金融商品の販売は対象としておりません。これにつきましては、金融商品販売法あるいは景品表示法といったような別の法律で規制をされておるというふうに理解をしております。
○平田健二君 まあ、多分そうだろうというふうに思っておりました。しかし、一般論として、こういった広告じゃないと消費者は飛び付かないと、だからこういった方法をやるんだろうと。確かに、これ違法ではないと思いますよ、違法ではない。多分、相当きちっと、有名な会社ですから、調査をされてこういう広告を出しておると思いますが、しかし、特定商取引法の趣旨からすると、私はある部分では反しているんじゃないかなというふうに思います。
一度、是非、こういったものを禁止するというわけにいきませんが、もっと消費者にすっと分かるような方法で広告を出すということぐらいは指導してもいいんじゃないかなというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか、大臣。
○国務大臣(中川昭一君) それ、改めて後で拝見いたしますけれども、平田委員の御説明を前提にしてお答えするならば、先ほど商務審議官の方から答弁したとおりというのが我が省の立場でございますけれども、内閣一体となって消費者保護会議というものございますので、一国務大臣といいましょうか政治家の立場としては、やっぱりそれは消費者に大変な誤解を招く広告になりかねないと。特にお年寄りをターゲットといいましょうか、お年寄りをねらった広告であればいろいろと、見にくいとか字の大きさとかいろいろあって、有名なタレントさんが出ているとかということで信用してしまう、あるいはまた大きい字だけを見てしまうということになれば、結果的に消費者に誤解を与える。それは我々政府として目指すべき方向ではないというふうに考えております。
○平田健二君 結局、この法律を改正しても、やっぱり悪いことをしようというのは、ちょっといかがかと思いますけれども、やはりどうしても法のすき間をねらってやってくる人たちというのは必ずおるわけですね。それを全体を取り締まるということだけでこういった被害といいますかがなくなるとは思いませんし、私はやっぱり最終的には消費者が、個人個人がいかに自分自身を守るか、そういったものにだまされないように注意するかということは、ある程度はやはり学習だと思うんですね。そういう意味で、私は小、中、高、大とありますが、やっぱり学校の教育の中に賢い消費者だというようなカリキュラムをある程度やっぱり入れていくべきだと、べきだと言うのはおかしいですな、そういうことを指導する必要もありますよというふうに私は思っております。
是非、これ政府挙げて、この消費者問題については、もう対症療法ではなくて根本からやはり見直すということを是非提案をしたいと思っております。
以上で終わります。