ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン東京> 記事

高速自転車「待った」

2009年09月13日

写真

死亡事故の現場近くにはスピードを落とすよう注意を呼びかける看板が立てられた=「府中多摩川かぜのみち」

◆市、衝突死を重視 凹凸舗装や条例/府中・多摩川河川敷

 休日ともなれば、都心からも多くのサイクリストが訪れる多摩川の河川敷。中でも府中市の「府中多摩川かぜのみち」(9・4キロ)は人気が高い。しかし、高速で走り抜ける自転車と歩行者との間で事故が多発、今年6月には自転車とぶつかった歩行者が死亡する事故も起きた。事態を重視した市は、自転車の速度を抑えるための路面改修に乗り出した。
(石川幸夫)

 「かぜのみち」は1970年代に「多摩川サイクリングロード」として整備されたが、8年前に名称を変更、ジョギングや散歩のための「歩行者優先」の道とされた。

 とはいえ、この区間は羽村市から大田区まで約50キロにわたる多摩川沿いの道の中でも比較的よく整備されていて高速走行がしやすく、景色も良いことから人気が高い。とりわけ休日はスポーツタイプの自転車が多く行き交う。

 市によると、「かぜのみち」の自転車の通行量は平日の約1000台が、休日になると4〜5倍にはね上がる。幅約3メートルの道は、歩行者とランナー、自転車でごった返す。

 混雑がひどくなるにつれ、事故の多発が問題になってきた。昨年は自転車と歩行者、あるいは自転車同士の接触・衝突事故が23件起きた。このうち2件は重傷事故だった。

 今年は市や府中署が週末に現地で注意を呼びかけるなど対策に力を入れているにもかかわらず、これまでに15件の事故が発生。中でも6月には歩行者と自転車が衝突し、歩行者が死亡した。自転車の速度の出し過ぎと前方不注意が原因とされている。

 市は河川管理者の国土交通省、警視庁と対策を検討。利用者が最も多い是政(これまさ)橋から市郷土の森博物館までの約1・6キロを「優先整備区域」とし、自転車の速度抑制のための改良を始めることにした。

 対策は(1)高速走行する際の目印になるセンターラインをすべて消す(2)路面に凹凸の舗装を施したり、目の錯覚で障害物に見える「イメージ・ハンプ」と呼ばれる路面標示などを複数個所設けたりする(3)「スピード落とせ」「事故多発」など、注意を呼びかける看板を増設する――など。

 また、市が制定予定の「自転車安全利用に関する条例」では「かぜのみち」も一般車道や歩道と同じ「道路」に位置づけ、自転車利用者の責務として「歩行者の安全を害する行為を行ってはならない」を定める。危険な運転をする自転車には市長による指導または勧告ができるとする規定も盛り込むという。

 市公園緑地課の雫石明男課長は「死亡事故を重く受け止めている。都心からも多くの人が訪れるコース。これまで以上に注意を呼びかけ、利用者の意識向上に期待したい」と話している。改良工事は早ければ、年内にも終えたいとしている。

PR情報
朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

マイタウン地域情報

ここから広告です

広告終わり