2009年9月14日3時16分
米デルタ航空と資本・業務提携交渉を始めた日本航空に対し、米アメリカン航空の親会社AMRも支援に名乗りを上げていることが13日、分かった。日航は当面デルタとの交渉を優先させる考えだが、アメリカンは日航と同じ国際航空連合グループに加盟し、関係が深い。航空業界世界1位と2位による「日航争奪戦」に発展する可能性もある。
欧米メディアによると、日航への出資や、合弁会社設立による支援を検討しているという。国土交通省幹部は朝日新聞の取材に対し「日航は(デルタとアメリカンの)両方から言い寄られている」と、アメリカンから日航支援の打診があることを認めた。
経営再建中の日航は、乗客数世界1位のデルタとの交渉で、500億円規模の出資を求めている。デルタは、日米間に多くの路線網を持つ米ノースウエスト航空と昨年経営統合。日航側は共同運航便の拡大によるコスト削減効果などに期待している。
一方、世界2位のアメリカンは日航と同じ国際航空連合「ワンワールド」に入り、マイレージポイントの共通化や日米路線の共同運航など幅広く業務提携している。
デルタと日航の交渉が成立すれば、日航はワンワールドを離脱し、デルタなどがつくる国際航空連合「スカイチーム」に移る可能性が高い。その場合、アメリカンはアジア地域における重要な営業の足場を失うため、日航支援に名乗りを上げることでワンワールドへの引き留めを図る狙いがあるとみられる。
航空会社が加盟する航空連合を変更するのは異例で、コンピューターシステムの変更などに多くの費用と時間がかかるとみられている。日航社内には、デルタとの提携よりもアメリカンとの提携強化を望む声も根強いが、国交省はデルタとの提携効果がアメリカンを上回るとみている。
今後、アメリカン側の提示する出資額や業務提携の提案内容が、デルタと日航の交渉に影響を及ぼす可能性もあり、日航支援をめぐる動きは一段と流動的になった。