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日教組の「悪法支配」を許すな(4)/八木秀次(高崎経済大学教授)、三橋貴明(評論家・作家)

Voice9月11日(金) 16時59分配信 / 国内 - 政治
日教組の「悪法支配」を許すな(4)/八木秀次(高崎経済大学教授)、三橋貴明(評論家・作家)
三橋貴明氏

◇またもや教育崩壊の危機に◇

 八木 いま、民主党を支持する左翼団体が人権委員会をつくって存続を図っているという話をしましたが、同じようなことが、いわゆる官公労組の問題にもいえるでしょう。冒頭にも申しあげたように自治労や日教組、国公労連(日本国家公務員労働組合連合会)などが民主党を強力に支持してきたわけですから、民主党政権の誕生により、どう考えても彼らが生き残ることになるわけです。たとえば年金問題で、なぜあんなに年金記載がずさんだったのかといえば、社会保険庁の労働組合の連中が仕事をサボったからです。それがいちばんの問題だったにもかかわらず、あの当時、安倍政権が悪いからだと責任転嫁されてしまった。そういう問題を起こした張本人たちはそのまま生き残って、結局は何も変わらないことになるのです。いま霞が関の官僚がいろいろと批判されていて、民主党も批判の急先鋒です。たしかに、これまでの自民党政権は霞が関のキャリア官僚との関係が深かったのかもしれません。しかし民主党政権は霞が関のいわゆるノンキャリアや、あるいは地方自治体の自治労などと関係が深い。公務員支配という意味では何ら変わらないのです。

 三橋 「官僚イコール悪者」という単純な官僚叩きには、以前から胡散臭さを感じてなりませんでした。民主党も盛んに霞が関批判を繰り返しましたが、官公労組に支援された民主党が「公務員改革」などと主張するのには笑うしかない。

 結局あれは一種の「魔女狩り」なんです。官僚にももちろん悪い部分があるのだろうけれども、100%悪いはずもない。しかし「官僚が悪い」という空気に日本人が呑まれてしまい、霞が関批判をしただけで選挙に当選するところまで最終的には行ってしまったわけです。しかし、経済問題はとくにそうですが、一部の悪者をつくってそれをみんなで叩くことによって、本当の問題が覆い隠されてしまいます。そちらのほうが深刻な問題です。

 八木 私が懸念するのはやはり日教組です。日教組出身で民主党代表代行・参議院議員会長の輿石東氏も「教育の政治的中立はありえない」と公言しています。いずれにせよ教育政策で日教組路線を突っ走ることは火を見るより明らかです。これで安倍内閣のときの教育再生はゼロベースに戻されるどころか、もっと押し返されて、教育はまたぞろ崩壊に向けての動きを加速するでしょう。ゆとり教育的な方向が復活するかもしれませんし、教育基本法を再改正するという方向になるかもしれない。歴史教科書なども村山内閣のころの内容に戻るかもしれません。

 教育政策以外でも、ネクストキャビネットではこれまた日教組選出参議院議員の神本美恵子氏が子ども・男女共同参画担当大臣になっていました。このテーマも日教組がやるのでしょう。となると、ジェンダーフリーはどんどん推進されるでしょうし、おそらく「子どもの権利基本法」も成立へ向けて動き出すでしょう。民主党の年来の主張ですから。

 三橋 「子どもの権利基本法」ができると、最終的には子供が親を訴えることを推奨されるような社会になっていくでしょう。すでにさまざまな地方自治体で「子ども権利条例」のようなものが制定されていますが、まさにそのような内容が盛り込まれているのですから。まさしくコミュニストの臭いがふんぷんたる政策です。

 八木 たとえば札幌市ではすでに条例がつくられ、子供の人権侵害を相談し、権利を救済する機関が設置されています。これは人権擁護法あるいは人権侵害救済法の「子どもの権利」版と考えればいいわけですが、その相談救済機関には、子供自身が訴え出てもいいし第三者が訴え出てもいい。訴え出れば、相談に乗ると称して、いろんな事実上の捜査が行なわれ、社会的な制裁も行なわれるということです。ほかにも「民主党政策集INDEX2009」に書かれたことはどんどん法律になるのではないでしょうか。たとえば、国立国会図書館法を改正して恒久平和調査局を設置し、日本の戦争犯罪をことさらに言い募る機関をつくったり、靖国神社をないがしろにする国立追悼施設の設置への動きを強めたり、夫婦別姓を制度化するなどということが進むでしょう。根拠になる法律制定への基本的な考え方さえ決めておけば、日本の行政は前例踏襲ですから、それを根本的にひっくり返すということにはなかなかならない。数年後の実現に向けて審議会をつくったり、着々と楔を埋め込んでいくことでしょう。

 三橋 そこはまさに村山政権のときと同じですが、あのころと決定的に違うことがあります。それは一般の人たちが、マスメディア以外にインターネットという情報交換手段をもったことです。もし希望があるとしたら、そこにしかない。相手の強みは強みとして、自分たちの強みもきちんと理解したうえで動くべきでしょう。たとえば国籍法改正案の問題がありました。ここではその中身の善し悪しは論じませんが、あれを問題にした人たちがインターネットにいっぱいいたわけです。ほとんどは、私よりも年齢が下の世代です。その人たちが一斉に推進派と思しき政治家に抗議のファクスを送った。それで事務所の業務が止まってしまったところも多かったようです。これはインパクトありますよね。その抗議を受けた河野太郎氏などの政治家たちは「一部の右翼勢力の仕業だ」といったそうですが、一部の右翼勢力だけでそんな大変な数になるわけがありません。しかし、それはインターネットがなかったらとてもできなかったことです。

 八木 われわれも左翼勢力に負けずに、日本を守るために繰り返し何度でも批判を展開せねばなりませんね。

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  • 最終更新:9月11日(金) 16時59分
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