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難題多い人件費削減 家計支援に逆行の指摘も '09/9/13

 民主党が取り組む国家公務員の総人件費2割削減は、衆院選で掲げた「官僚支配の打破」と「行政の無駄根絶」を同時に実行する狙いだ。ただ給与引き下げ、人員削減ともに具体化には難題が山積。家計支援による可処分所得増を重視する新政権の経済政策に逆行するとの意見も出そうだ。

 国家公務員約57万5千人の給与引き下げは、同様の仕組みで給与を改定する地方公務員約290万人への波及が必至だ。

 国や自治体の厳しい財政状況を考えれば引き下げはやむを得ない面もあるが、国と地方の合計で350万人近くに達する公務員の給与下げは各家計の可処分所得を減らし、地域経済を冷え込ませる要因になりかねない。

 民主党の有力な支持団体である官公労が給与引き下げや人員削減に反発するのも確実。特定の支持団体に配慮して政権公約の実現が中途半端に終わることになれば国民の失望を招く。難しいかじ取りを迫られそうだ。

 人員削減は約31万人の行政機関職員が主な対象で、うち約19万人は地方にある国の出先機関に在籍する。新政権は地方分権改革の一環として出先機関を原則廃止し、自治体へ業務を移管する方針。人員減の一部は、業務移管に伴い担当職員を地方公務員に移籍させることで達成する。

 だがこの場合は、職員の人件費を含む事業経費も地方に押しつけることになる。国、地方のトータルで見れば効率化につながらないとの批判も出そうだ。

 また衆院選では、省庁の「天下り」あっせん禁止に伴い早期退職慣行を廃止することを公約しており、人件費削減との両立が課題となりそうだ。




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