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だれやみ日記:同盟国と従属国 /宮崎

 鳩山由起夫・民主党代表の論文の抜粋が米紙に転載され「日米関係に波紋を広げた」と報道された。論文では「イラク戦争の失敗と米国の金融危機によって、米国主導のグローバリズムの時代は終わり、世界は米国一極支配から多極化の時代へ向かうだろう」と指摘する一方、日米同盟は「日本外交の基軸であり続ける」とも述べている。

 一体どこが米国を怒らせるほどの内容なのか。至極まっとうな見解ではないか。90年代、冷戦後の世界経済を主導しようと、米国は最も得意とする金融業とIT産業を結びつける一大市場を作り出した。これに地球(グローブ)全体を巻き込んでいこうという戦略がグローバリズムである。

 米国は各国をこの市場に参加させようと働きかけ、日本も規制緩和、市場開放、自由競争などの構造改革路線を選んだ。だが規制のない地球市場が行き着く先は、すべての価値を金銭に換算し、日本と外国の労働者を競争させ、どちらが安上がりかを選ぶ世界である。その影響もあり、日本の地方経済は疲弊した。

 グローバル化を進める米国のサブプライムローンは世界中にばらまかれて、不良債権化し、各国に迷惑をかけている。今や米国流のグローバリズムを批判しない国は、世界で米国だけだろう。

 鳩山論文を攻撃して「米国に黙って従う方が国益になる」といった論調が日本の一部マスコミに見られるのは残念だ。米国自身だって、使用人のような従順な同盟国を求めているだろうか。

 被占領時代、敗戦国であるためロンドン五輪に出場できず、翌年の全米水泳選手権に出発する古橋広之進選手ら日本チームが連合国軍総司令部にマッカーサーを訪ねた。彼はこう激励した。「勝っておごるな、負けて卑屈になるな。米国チームを徹底的にやっつけろ。それが米国人への礼儀だ」。言うべきは言う。同盟国と従属国は違う。<宮崎支局長 大島透>

毎日新聞 2009年9月13日 地方版

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