パナソニックが三洋買収でやきもき、長引く独禁法の審査東洋経済オンライン9月14日(月) 11時 3分配信 / 経済 - 経済総合
両社が資本提携を締結したのは昨年12月。3月には子会社化に向けてTOBに着手する見通しだった。だが2社でほぼ寡占状態のハイブリッド自動車用ニッケル水素電池などをめぐり、各国の独占禁止法審査が長期化。当初計画から大きくずれ込んでいる。 7月末には「9月までにTOBを終えるよう取り組んでいる」(パナソニックの上野山実取締役)、「審査は第4コーナーに差しかかった。9月にはやりたい」(三洋電機の前田孝一副社長)としていたが、この目算も狂った。 現在、11カ国・地域のうち、審査をクリアしたのは7カ国・地域。依然として日本、欧州、中国、米国など重要地域が残されている。8月31日に両社は、TOB時期を10月末までに発表すると修正したものの、それまでにすべてを終えるかどうかも不透明だ。 とはいえ、独禁法審査が暗礁に乗り上げているわけではない。焦点とされていた米国のハイブリッド自動車用ニッケル水素電池は審査の峠を越え、残るは業務用製品など細かな製品分野となっている。 「いろいろな手段で何としてもTOBをやり切る」とパナソニックの意志は固い。いざとなれば重複事業の撤退や譲渡も選択肢に入れ、審査を通過させる覚悟という。 三洋電機の大株主3社も、TOB応募への方向性は不変。大和証券SMBC、三井住友銀行の2社は、すでにパナソニックとTOB(1株131円)に応じる個別契約を結んでいる。ゴールドマン・サックス証券は個別契約こそ結んでいないが、三洋電機に送り込んでいた役員2名が7月に引き揚げるなど、子会社化後を見越している。 ■シナジー追求も凍結 根本路線に影響はない。だが買収時期が遅れれば、相乗効果が期待される事業で機会損失につながりかねない。 たとえば、パナソニック電工が販売する住宅用太陽光発電システム。今年から復活した補助金が追い風となり、4〜6月期は前年同期比2倍となった。しかし基幹部品の太陽電池セルを競合他社から調達しており、仕入れ価格、数量ともにハンディキャップがあると同社は嘆く。「グループで調達できればもっと安く、たくさん売り込めるのだが」(パナソニック電工幹部)。三洋電機は世界最高性能の太陽電池セルを製造している。 昨年12月には事業シナジーの検討に向け「コラボレーション委員会」を設立した。が、審査期間中は身動きできず、実質凍結状態のまま。その先に光が見えているのに、なかなか進めない苦しみに両社はあえいでいる。 (西澤佑介 =週刊東洋経済) 【関連記事】 ・ 大日本住友製薬が米セプラコール社にTOB、海外展開に乗り出す ・ ブリヂストンが放つ“ランフラット”の可能性、パンクOKの新タイヤが勢力図を塗り替える!? ・ 上場5子会社を吸収、日立の意外な実行力 ・ キリンとサントリー、強者連合の描く野望 ・ 喫煙者専門のカフェが好調、「煙くない」のが人気?!
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