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【MotoGP】地元で快勝のバレンティーノ・ロッシの去就問題〜4強ライダーの移籍先は?

スポルティーバ9月11日(金) 18時31分配信 / スポーツ - モータースポーツ
 第13戦サンマリノGPの舞台は、イタリアでも有数の保養地として名高いアドリア海沿岸のリミニやリッチオーネからほど近い、ミザノワールドサーキット。

 このサーキットから目と鼻の先の場所に、バレンティーノ・ロッシの故郷タブリアがある。直線距離にしてわずか15km。スクーターで走ってもわずか十数分の距離だ。ロッシが生まれて初めて走ったコースがここで、まさに文字どおり「自分の庭」のようなサーキットだ。

 イタリアのスーパースターの地元コース、となれば、観客席の大半がロッシカラーの黄色で埋め尽くされるのは当然の成り行きで、そんな大勢のファンが見守るなか、ロッシは予選でポールポジションを獲得。

 決勝レースでも圧倒的な強さと速さを見せつけて、今季6勝目。シーズン4戦を残して、ランキング2位の選手とのポイント差を30に広げた。

 何から何まで狙いどおりにピタリと決まり、ロッシとヤマハ、そして会場を埋め尽くしたロッシファンにとっては、究極の予定調和、といってもいいくらいに非の打ち所のないレースだった。

 そのロッシの周辺が、ここに来て微妙にざわついている。ヤマハとの現在の契約が満了する2010年を節目に、2011年からドゥカティへ移籍するのではないか等と、一部で囁かれ始めたのだ。

 この話は、ドゥカティのマシン設計者の優れた能力をロッシが賞賛し、設計者もその賞賛に感謝するコメントを発したという一件がそもそもの火種になっている。

 つまり、移籍の実現可能性云々というよりも、むしろ、パドックを賑わせた来季の各種移籍話もほぼ一段落した時期の、ニュースの<夏枯れ>対策として、イタリアメディアとロッシサイドがある種の以心伝心で話題を提供している面白おかしい噂話、と理解するのが妥当なところだろう。

 とはいえ、いきなり瓢箪から駒が飛びだしてくるようなこの世界では、ただの噂話が急に現実味を帯び始めることも珍しくなく、そこがまた噂話の面白い側面であるともいえるのだが、メディアの扱いやファン心理を知悉しているロッシ本人はというと、思わせぶりな発言をちらつかせる反面、「再来年以降のことは来年になってから考える」と何度も発言し、しっかりと憶測を牽制している。

 いずれにせよ、こんなふうに思いのままにメディアやファン心理を操るところなど、まさにスーパースターの面目躍如といっていい。

 ところで、この第13戦ミザノでは、ダニ・ペドロサとアンドレア・ドヴィツィオーゾの、レプソル・ホンダとの契約更改が正式に発表された。

 第11戦チェコGPの際には、HRC鈴木哲夫社長が両選手とも2010年からの2年契約で基本合意に達した、という旨を発表していたのだが、その後、条件面での交渉等が難航した模様で、なかなかサインには至らなかった。

 そして、当初の発表から1カ月近くを経てようやく正式契約に至ったわけだが、その内容はというと、ペドロサは2010年の単年、ドヴィツィオーゾは2010年プラス1年のオプション、という形に落ち着いていた。

 さらにこの1戦前を振り返れば、第12戦インディアナポリスGPでは、ホルヘ・ロレンソがフィアット・ヤマハとの契約更改を発表しているが、これも期間は1年。一般的に、有力選手がワークスチームと契約を締結する際には2年の期間であることが多いが、彼らは一様に、2011年シーズンを睨んで自由に動ける方法を選択した。

 その狙いが、2011年以降のバレンティーノ・ロッシの去就への対応にあることは、いうまでもないだろう。

 さらに来年は、ドゥカティのケーシー・ストーナーも契約満了を迎える。

 つまり、来年はロッシ、ストーナー、ロレンソ、ペドロサの<4強>が、いずれも移籍の時期を迎える、というわけだ。

 ロッシの動向を軸に大きな展開が繰り広げられることが必至の移籍交渉では、交渉材料としての契約金高騰も予想されるが、某チーム関係者は「他ワークスの責任者と、契約金額について話し合ったほうがいいかもしれない」と、冗談交じりで話す。

 ライダーたちの<2011年問題>は、すでに水面下でリアルに動き始めている。そして、その中心には、やはりいつものようにバレンティーノ・ロッシがいる。

西村章●取材・文 text by Nishimura Akira

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  • 最終更新:9月11日(金) 18時31分
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