イチロー(マリナーズ)が9月17日のロイヤルズ戦で8年連続200本安打のメジャーリーグ・タイ記録を達成した。これはオリオールズなどで活躍したウィリー・キーラーが1894年から1901年にかけてマークして以来、実に107年間にわたって封印されてきた大記録だ。球界ではジョー・ディマジオの56試合連続安打などのように、アンタッチャブル・レコード(不滅の記録)のひとつとみられていたもの。
「めちゃくちゃしんどかった」
イチローのコメントにも実感がこもる。それほどハードルの高いチャレンジだった。
“安打製造機”ピート・ローズ(過去最多10回の年間200本安打をマークし、通算4256安打のメジャー記録を持つ)や、“球聖”タイ・カッブ(史上最高の通算打率3割6分6厘、年間200安打9回で史上2位)でも、3年続けるのが精一杯だった。また現役では、過去10年間で最多の1971安打を放っているデレク・ジーターが年間200安打を6回記録しているが、今年で連続は『3』でストップ。さらに、イチローがライバルと位置付け、「自分以外でイメージして200安打ができる打者」というマイケル・ヤング(レンジャーズ)も、前半のスランプが響いて、5年連続で途切れる。つまり、この記録に関していえば、イチローを脅かす選手はもはやいなくなったということなのだ。
また、イチローはこの記録達成で、歴史の中から、一部の野球通を除いては知られることのなかったキーラーという1世紀以上も前の大選手を蘇らせ、ファウルボールがストライクにカウントされなかった頃の、遙か遠い昔の野球を想像させてくれた。イチローはそのバットによって、時代や世代を繋ぐロマンの旅にいざなってくれたといってもいいだろう。
それほど意味のある記録にもかかわらず、アメリカにおけるメディアの扱いは決して派手なものとはいえなかったし、ファンを熱狂させるものでもなかった。その理由として、ペナントレースが激しい優勝争いの真っ最中であったこと、記録達成が地元シアトルではなかったこと、あるいはマリナーズというチームが今シーズンの不振を象徴するような7連敗の泥沼に喘いでいたことなどを挙げることができる。
もちろん、タイミングや状況が悪かったというばかりではない。やはり、安打記録、しかも何年にもわたるような記録はホームラン記録などに比べるとインパクトが弱いし、それがタイ記録なのだから仕方のないことなのかもしれない。
しかし、何よりも記録達成の盛り上がりを欠いたのは、メディアやファンがイチローの実力に対して麻痺してしまっているからではないだろうか。メディアの中には「内野安打の名人」などと揶揄する声もあるが、年間262安打の記録保持者のイチローこそ現代の“安打製造機”であり、“メジャーの顔”であることは紛れもない事実。『年間200本』はイチロー本人の気持ちとは裏腹に、みるものには当たり前のことのように映っている。
周囲がイチローに期待しているのはあくなき挑戦。9年連続200本はもちろん、“安打製造機”に相応しいT・ウイリアムズ以来の打率4割であり、ディマジオを超える57試合連続安打のような大記録なのだ。
静かな記録達成はむしろ、イチローという選手の存在の大きさを改めて認識させたように思える。
「めちゃくちゃしんどかった」
イチローのコメントにも実感がこもる。それほどハードルの高いチャレンジだった。
“安打製造機”ピート・ローズ(過去最多10回の年間200本安打をマークし、通算4256安打のメジャー記録を持つ)や、“球聖”タイ・カッブ(史上最高の通算打率3割6分6厘、年間200安打9回で史上2位)でも、3年続けるのが精一杯だった。また現役では、過去10年間で最多の1971安打を放っているデレク・ジーターが年間200安打を6回記録しているが、今年で連続は『3』でストップ。さらに、イチローがライバルと位置付け、「自分以外でイメージして200安打ができる打者」というマイケル・ヤング(レンジャーズ)も、前半のスランプが響いて、5年連続で途切れる。つまり、この記録に関していえば、イチローを脅かす選手はもはやいなくなったということなのだ。
また、イチローはこの記録達成で、歴史の中から、一部の野球通を除いては知られることのなかったキーラーという1世紀以上も前の大選手を蘇らせ、ファウルボールがストライクにカウントされなかった頃の、遙か遠い昔の野球を想像させてくれた。イチローはそのバットによって、時代や世代を繋ぐロマンの旅にいざなってくれたといってもいいだろう。
それほど意味のある記録にもかかわらず、アメリカにおけるメディアの扱いは決して派手なものとはいえなかったし、ファンを熱狂させるものでもなかった。その理由として、ペナントレースが激しい優勝争いの真っ最中であったこと、記録達成が地元シアトルではなかったこと、あるいはマリナーズというチームが今シーズンの不振を象徴するような7連敗の泥沼に喘いでいたことなどを挙げることができる。
もちろん、タイミングや状況が悪かったというばかりではない。やはり、安打記録、しかも何年にもわたるような記録はホームラン記録などに比べるとインパクトが弱いし、それがタイ記録なのだから仕方のないことなのかもしれない。
しかし、何よりも記録達成の盛り上がりを欠いたのは、メディアやファンがイチローの実力に対して麻痺してしまっているからではないだろうか。メディアの中には「内野安打の名人」などと揶揄する声もあるが、年間262安打の記録保持者のイチローこそ現代の“安打製造機”であり、“メジャーの顔”であることは紛れもない事実。『年間200本』はイチロー本人の気持ちとは裏腹に、みるものには当たり前のことのように映っている。
周囲がイチローに期待しているのはあくなき挑戦。9年連続200本はもちろん、“安打製造機”に相応しいT・ウイリアムズ以来の打率4割であり、ディマジオを超える57試合連続安打のような大記録なのだ。
静かな記録達成はむしろ、イチローという選手の存在の大きさを改めて認識させたように思える。