グッドウィル折口、300億円破産 栄華からの転落人生

2009.09.09


折口雅博氏【拡大】

 人材派遣大手、旧グッドウィル・グループ(GWG、現ラディアホールディングス)の創業者、折口雅博氏(48)とその資産管理会社が破産した。折口氏といえば、ディスコ「ジュリアナ東京」などをプロデュースし、一世を風靡した。その後、人材派遣業に進出したものの、数年前からは坂道を転がるような転落人生を送ることになった。

 帝国データバンクなどによると、折口氏と資産管理会社の折口総研(東京)は1日、東京地裁で破産手続き開始の決定を受けた。負債総額は312億円。

 折口氏といえば、旧日商岩井(現双日)の商社マンだった1991年、ディスコブームの先駆けとなる「ジュリアナ東京」(東京・芝浦)をプロデュース。独立後の94年、大型ディスコ「ヴェルファーレ」(東京・六本木)を立ち上げたことでも知られる。

 事業欲は強く、ヴェルファーレを96年に退社した後、人材派遣業のGWGを創業し、会長に就任した。2004年には、43歳の若さで経団連理事に就き、絵に描いようなサクセスストリーを実現していった。

 ところが、GWGへの支配力を強めようとした06年前後あたりから転落が始まる。みずほ銀行から271億円の融資を受けるなどして、GWGの転換社債を購入。ところが、訪問介護子会社のコムスンで事業所の虚偽申請が見つかるなど、不祥事が続出。GWG株は急落して、巨額融資に差し入れていた同社株が担保割れを起こす。

 「このころから折口氏は裸一貫で出直すことになるのではといわれていた」(関係者)という。

 一連の不祥事の責任をとり、折口氏は08年3月に会長を引責辞任した。

 ただ、折口氏もしたたかで、会社を去ったものの、08年12月末時点で、折口総研がGWGの発行済み株式の19.01%、折口氏個人が3.19%を保有。この時点で計22.2%を持つ筆頭株主で、虎視眈々と復権をねらっていた。

 米投資ファンドのサーベラスとモルガン・スタンレーのファンド連合がみずほ銀が保有するG向け債権を買い取り、債務の株式化を計画。

 「このファンド連合と折口氏との間で密約があった。ファンド連合が保有するGWG株の買い取り交渉件権を折口氏が持っていたからだ。この時点で、折口氏の第一線への復帰が既定路線となっていた」(証券関係者)という。

 ところが、GWGの財務は09年6月期に640億円の債務超過になるほど悪化。「追いつめられたラディアは金融機関に債権放棄を求める私的整理に踏み切ることを決めた」(金融関係者)

 これで折口氏の命運は尽きてしまい、債権者から破産を申し立てられてしまう。折口氏の人生は上り詰めるのも早かったが、転落するのもあっという間だった。